1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63850147
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
小林 俊郎 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (90023324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 邦明 日精工業, 研究開発部課長
松尾 國彦 栗本鉄工所, 素形材技術センター, 金属材料技術部長
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Keywords | オーステンパー球状黒鉛鋳鉄 / 強靱化 / 歯車 / 疲労特性 |
Research Abstract |
歯車材料に、研究者らが提案した強靱ADI鋳鉄を実用化するためにNi(〜2.5%)・Mn(〜0.8%)低合金球伏黒鉛鋳鉄を基礎材料とし、実際での溶製・製造・熱処理条件を各種の機械的試験(引張試験・シャルピー衝撃試験・破壊靱性試験)によって、ほぼ確定した。さらに、強靱ADI鋳鉄の優れた強靱性のメカニズムを明らかにするため、また機械的特性に及ぼす炭化物等の変態析出組織の影響を明確にするため、透過型電子顕微鏡(TEM)による観察を行った。その結果、本鋳鉄では、X炭化物をはじめとする遷移炭化物が析出することを初めて明らかにすることに成功した。また、従来よりADI鋳鉄での靱性の劣化はFe_3C等の炭化物の析出が原因とされてきたが、オーステンパー処理中に析出する二次黒鉛による影響が大きいという極めて重要な結果を得ることができた。この点については、今後、さらに検討を行う予定である。以上の実績に加えて、実機歯車として試運転を行うに先立って、予備試験(プラッキングテスト・騒音測定試験)を行った結果、現行品(SCM材)に比較して、優れた耐久性(約25%増)と騒音の低減化(約13%減)が認められた。この結果により、本鋳鉄を歯車の構成材料として実用化できるとの確信が得られた。今後は、強靱ADI鋳鉄製歯車の実機による試験を行うとともに、本鋳鉄を歯車に適用する上で不可決な特性と考えられる疲労特性を各種の疲労試験(平滑試験・き裂伝播速度試験・衝撃疲労試験)を行うことによって、重点的に評価する予定である。さらに、強靱ADI鋳鉄を歯車に適用する際の加工条件、特に切削性または歯切条件を検討する。
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Research Products
(2 results)