化学気相析出(CVD)法によるTiC/C系セラミックスの傾斜複合化

1988 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 63850149
• Research Institution: Tohoku University
• Principal Investigator: 平井 敏雄 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (50005865)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 天野 忠昭 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (10005978) ; 山根 久典 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (20191364) ; 佐々木 眞 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (70187128) ; 後藤 孝 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (60125549)
• Keywords: 傾斜複合化 / 傾斜機能材料 / 炭化チタン / 炭素 / 炭化珪素 / CVD-TiCSiC / C / 複合材料

Research Abstract

TiC/C系傾斜機能材料のCVD法による最適合成条件を検討するに当たり、(1)TiC類似化合物であるSiCおよびC系についての検討、(2)SiC/C傾斜機能材料の合成、について先行して研究し、その後、(3)TiC/C系無傾斜材料の合成条件の検討、を行った。SiC/C系では、原料ガス中のSi/C比を制御することにより、SiCからCに至る種々の組成のSiC/C無傾斜材料の合成に成功した。緻密な板状の析出物が得られる条件は1673〜1773K、13〜40KPaであることがわかった。
次に、TiC/C系無傾斜材料の合成条件の探索を行った。本研究者らが設計、作製したCVD実験装置を用いて、Ti源としてTiCl_4を、C源としてC_2H_2およびCH_4を原料ガスとして、TiCl_4のキャリアガスにH_2あるいはArを用いて実験を行った。黒鉛基板上に板状TiCおよび板状Cが合成されるCVD条件の検討を行った。X線回折法により格子定数および結晶配向係数、密度などの構造パラメーターを測定した。その結果、TiCおよびTiCにCが共析した厚さ0.1から0.4mMの板状の試料を合成することができた。板状試料の生成速度はArキャリアー、CH_4を使用したときが最も速く、原料ガス中のTi/C比が小さくなるにしたがって密度は4.6から3.0g/cm^3まで変化した。またTiCの格子定数は、原料ガス中のTi/C比が小さくなるにしたがって4.3274〓から4.3286〓まで変化した。これは、TiCに過剰のCが共析出してもTiCの格子定数は変わらないとする従来の報告にはない新しい知見である。この膜には圧縮応力が入っていることが確認された。以上のことより、TiC/C傾斜複合化のために必要な基本的なCVD条件が本年度の研究により明らかになった。なお現在は、TiC/CおよびSiC/C傾斜複合材料の合成準備を進めている段階である。

Research Products

• [Publications] C.C.Jiang: J.Mat.Sci.,in contribution.
• [Publications] 王雨叢: 第102回日本金属学会講演概要集. 261 (1988)
• [Publications] 佐々木眞: 第103回日本金属学会講演概要集. 433 (1988)
• [Publications] 王雨叢: 日本セラミックス協会年会. (1989)
• [Publications] 平井敏雄: "'88先端科学技術開発年鑑" 技術出版, 82-83 (1988)
• [Publications] 平井敏雄: "炭化珪素セラミックス" 内田老鶴圃, 55-72 (1988)