1989 Fiscal Year Annual Research Report
有機金属化合物の加圧熱分解による機能性炭素材料の開発
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63850165
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
平野 眞一 名古屋大学, 工学部, 教授 (30016828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊田 浩一 名古屋大学, 工学部, 助手 (00214742)
林 卓 名古屋大学, 工学部, 助教授 (70023265)
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Keywords | 炭素 / フェライト / 磁気シ-ルド / 水熱合成 / 熱分解 / 有機金属化合物 |
Research Abstract |
本年度は、前年度のコバルトフェライト分散炭素の合成とその磁気特性の評価結果をもとに、磁気的性質の比較と改善を目的として、ニッケルフェライト分散炭素の合成を試みた。本年度の実験には、このフェライト分散炭素の生成過程、分解挙動、磁気的性質を検討するために、炭素マドリックス用有機化合物としては、前年度と同様にジビニルベンゼンを用いた。また、金属源としては、合成したビニルフェロセンとニッケロセンをそれぞれ利用した。これらの原料を混合し、均一溶液とした後、300℃、100MPaの条件で加圧共重合させ、さらに水との共存下で加圧下熱分解を行った。この結果、550℃での熱分解によって、ニッケルフェライトが分散した炭素を高収率で合成することができた。また、熱分解温度を上昇させると、フェライトが分解し、ニッケル金属の生成が認められた。これは、コバルトフェライトの場合に、CoOが生成してくる結果とは、異った傾向である。これらのフェライト粒子は、TEMによる観察で、炭素マトリックス中に均一に数百Å程度の粒子として分散している状態が確かめられた。特に、金属濃度が高い場合には、粒子の形態も明確であった。磁気的性質とこれら生成相との関連を調べてみると、強い関連がある。すなわち、飽和磁化は金属濃度の増加とともに比例的に増加し、また高温での熱分解を用いた場合には、さらに上昇が見られた。これは、コバルトフェライトの場合には、反強磁性のCoOが生成するのに対し、この場合はニッケル金属が生成することが原因であると考えられる。水の添加量もまた、炭素の形態や磁気的特性に影響を与える。20wt%の水の添加によって、球状の炭素粒子が生成し、金属量に対する水の相対的割合が増加するにつれ、保持力の増加が認められた。このように、水の添加量、熱分解条件の選択によって、磁気的性質を容易に制御できることが明らかとなった。
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[Publications] Toshinobu Yogo,: "Synthesis and properties of magnetite-dispersed carbon by pressure pyrolysis of divinylbenzene-vinylferrocene with water" J.Mat.Sci.,. 24. 2115-2119 (1989)
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[Publications] Toshinobu Yogo: "Synthesis and properties of carbons dispersed with α-iron particles from divinylbenzene-vinylferrocene" J.Mat.Sci.,. 24. 2071-2075 (1989)
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[Publications] Toshinobu Yogo: "Synthesis and properties of platinum-dispersed carbon by pressure pyrolysis of organoplatinum copolymer" J.Mat.Sci.(to be published).
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[Publications] 平野眞一: "コバルトフェライト分散炭素の合成"
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[Publications] 平野眞一: "ニッケルフェライト分散炭素の合成"