1988 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ素ー炭素二重結合化学種と遷移金属錯体との相互作用
Project/Area Number |
63850173
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石川 満夫 広島大学, 工学部, 教授 (20025985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大下 浄治 広島大学, 工学部, 助手 (90201376)
高木 謙 広島大学, 工学部, 助手 (80116615)
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Keywords | シレンーニッケル錯体 / πーシラプロペニルニッケル錯体 / ダブルシリル化 / ニッケル触媒反応 |
Research Abstract |
本研究はビニル基をもつポリシランと遷移金属錯体によるシレンの生成法を確立し、これらシレンー遷移金属錯体の化学的性質を明らかにする目的で行なったものである。 1.ビニルジシラン類と解媒量のテトラキス(トリエチルホスフィン)ニッケルとの反応によって新規二量体の生成することを見い出し、これらの反応においては、シリル基の1,3ー転位により生じたシレンーニッケル錯体のCーH活性化によりπーシラプロペニルニッケル錯体が生成し、これが反応中間体として重要な役割をはたしていることを明らかにした。またこれらの反応を溶媒としてメシチレンを用いて行なうと二量化生成物の収率が飛躍的に向上することを明らかにした。さらに本反応はビニルジシラン類に特有の反応であることを示した。 2.ビニルジシラン類とニッケル錯体との反応を種々の共役ジエン類の存在下で行ない、ダブルシリル化生成物が定量的に得られることを見い出した。これらの実験を基礎にしてπーシラプロペニルニッケル錯体の生成の機構を明らかにした。これらの反応で得られるダブルシリル化生成物は2つのシリル基がともに炭素ー炭素二重結合に対してアリル位に位置する興味深い化合物であり、有機合成反応の重要な中間体となりうる化合物である。また、ダブルシリル化生成物はビニルジシランのケイ素ーケイ素結合がニッケル上に酸化的に付加し、ついで共役ジエンに1,4ー付加することによって生じることを明らかにした。 3.ビニルジシラン類の光反応で生成するシレンの化学的挙動を解明し、πーシラプロペニルニッケル錯体の性質との類似点および相異を明らかにした。 以上シレンーニッケル錯体の生成法を確立するとともに、それらの化学的性質を明らかにした。
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[Publications] Mitsuo Ishikawa: J.Chem.Soc.Chem.Commun.804-805 (1988)
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[Publications] Joji Ohshita: Chemistry Express. 3. 179-182 (1988)
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[Publications] Mitsuo Ishikawa: J.Organomet.Chem.
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[Publications] Mitsuo Ishikawa: "Silicon Chemistry" Ellis Horwood, 191-200 (1988)