1988 Fiscal Year Annual Research Report
疎水性ビタミンB_<12>類を触媒とした電気化学的新有機合成
Project/Area Number |
63850174
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村上 幸人 九州大学, 工学部, 教授 (30037717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 宏輔 日本石油, 中央技術研究所, 第2研究室長
横野 照尚 九州大学, 工学部, 助手 (10203887)
久枝 良雄 九州大学, 工学部, 助教授 (70150498)
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Keywords | 疎水性ビタミンB_<12> / 転位反応 / 触媒反応 / 修飾電極 / 電解反応 / アニオン中間体 / 電気化学 / 電子吸引性置換基 |
Research Abstract |
1.ビタミンB_<12>のコリノイド骨格周辺のアミド基を種々のカルボン酸エステル基に変換した疎水性ビタミンB_<12>類を合成した。さらに、不斉認識部位として軸性キラリティーをもつビナフチル基を骨格周辺部位に導入した疎水性ビタミンB_<12>を合成した。 2.基質としてマロン酸エステルのブロム化物を用い、種々の電位で疎水性ビタミンB_<12>を触媒とする反応を行い、エステル基が分子内1、2ー転位する電解条件を見出した。また、マロン酸誘導体以外に、エステルのかわりにチオエステル、アシル、シアノなどの官能基を有する基質についても反応を行い、同様に電子吸引性置換基の1、2ー転位が起こることを明らかにした。本研究での実験条件下における反応は触媒的に進行し、2時間でターンオーバー数100以上の効率で転位生成物を与えた。 3.上記の反応について、サイクリックボルタムメトリー法、スピントラップ法、電子スペクトルによる反応追跡により反応中間体の構造を確認した。また、クーロメトリー法による消費電気量と生成物の相関性および重水素化合物を用いた生成物解析により反応機構を明らかにした。その結果、本実験条件における転位反応はアニオン中間体を経て進行していると結論した。また、シアンイオンが疎水性ビタミンB_<12>の軸配位座に結合したものはコバルトーアルキル結合のヘテロリシス開裂が起こし転位反応に有利に働くことを明らかにした。 4.疎水性ビタミンB_<12>をいくつかの方法で電極に固定化することを試みた。白金電極または炭素電極上に直接共有結合で固定化したもの、シリル基を介して固定化したもの、また高分子被覆により固定化したものを作製した。これらのビタミンB_<12>修飾電極の電気化学的挙動を検討した結果、高分子被覆電極が反応性電極として最も優れていることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Yukito Murakami: Chemistry Letters. 469-472 (1988)
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[Publications] 村上幸人: 日本化学会誌. 445-451 (1988)
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[Publications] Yukito Murakami: Chemistry Letters. 835-838 (1988)
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[Publications] Yukito Murakami: Pure and Applied Chemistry. 60. 1363-1368 (1988)