1989 Fiscal Year Annual Research Report
次世代抗生物質1βーメチルカルバペネムの実用的不斉合成法の開発
Project/Area Number |
63850176
|
Research Institution | TOKYO INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
中井 武 東京工業大学, 工学部, 教授 (90016717)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高谷 隆男 藤沢薬品工業kk, 新薬研究所, 所長
|
Keywords | カルバペネム系抗性物質 / 不斉合成 / 1βーメチルカルバペネム / βーラクタム / アルド-ル反応 / βーヒドロキシ酪酸 / βーヒドロキシイソ酪酸 / 重複不斉合成 |
Research Abstract |
1βーメチルカルバペネム系抗生物質は、次世代抗生物質の最有力候補として大きな期待を集めている。本研究の主目的は、大量入手可能な光学活性体を出発物質に用いて、1βーメチルカルバペネム鍵中間体(以下、鍵中間体と略記)の実用的不斉合成法を開発することにある。 本研究者らは昨年度、入手容易な(R)ーβーヒドロキシ酪酸メチルを出発物質とする鍵中間体の不斉合成ル-ト【○!A】を開発したが、今回、(S)ーβーヒドロキシイソ酪酸メチルを出発物質とする鍵中間体の不斉合成ル-ト【○!B】および(R)ーβーヒドロキシ酪酸メチルと(S)ーβーヒドロキシイソ酪酸メチルを出発物質とする鍵中間体の不斉合成ル-ト【○!C】の開発に成功した。合成ル-ト【○!B】は、4位の側鎖をもつβーラクタム環を形成させた後に、3位の側鎖を導入するという新しい発想にもとづく方法であり、合成ル-ト【○!C】は、「重複不斉アルド-ル反応による立体制御」という独自の着想にもとづく方法である。以上、本研究で計画した3つの不斉合成ル-トの開発に成功し、当初の目的を達成し、特許申請を行ったが、いずれのル-トとも、その経済性からみて実用化の可能性は低いというのが総合評価結果である。さらに、今回、鍵中間体の不斉合成の効率化をめざして、キ-ステップとなる不斉アルド-ル反応の触媒化をも検討し、現在NMRシフト剤として用いられているユウロピウム錯体が、(R)ーβーヒドロキシ酪酸メチルから調製したシリルケテンアセタ-ルとβーベンジルオキシアセトアルデヒドとの不斉アルド-ル反応の、優れた触媒となることを明らかにした。なお、この不斉合成ル-トの開発研究に平行して、種々の1βーメチルカルバペネム誘導体を合成し、それぞれの抗菌性試験を行っているが、これらの試験結果は現在発表準備中である。
|
-
[Publications] Fumiyuki Shirai: "A New Synthetic Route to the Key Precusor of 1β-Methylcarbapenem Antibiotics from(S)-Methyl 3-Hydroxy-2-methylpropanoate" Chemistry Letters. 445-448 (1989)
-
[Publications] Fumiyuki Shirai: "A Novel,Double-Asymmetric Aldol Approach to the Synthesis of a 1-Methyl Carbapenem Antibiotic Precursor" Tetrahedron Letters. 29. 6461-6464 (1988)
-
[Publications] 村田正好: "3ーピロリジニルチオー1ーアザビシクロ〔3,2,0〕ヘプトー2ーエンー2ーカルボン酸化合物" 公開特許公報(A). 783-852 (1988)