1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63850180
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
柿本 雅明 東京工業大学, 工学部, 助教授 (90152595)
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Keywords | ラングミュアーブロジェット膜 / ポリイミド / 選択ガス分離 / 高速ガス分離 |
Research Abstract |
ラングミュアーブロジェット(LB)法は比較的簡便に分子サイズの超薄膜を与える方法として知られている。我々は耐熱性高分子と知られている、ポリイミドのLB膜を作成する方法を開発した。本研究では、ポリイミドLB膜をガス分離膜として応用することを目的として研究を行った。ガス分離膜においては、ガス分離の選択性は膜の化学構造に、ガスの透過速度はその膜厚に関係することが知られている。ガス透過膜を実際に使用する時には、高い分離能を有しながら高い透過量が達成できる材料が望まれている。このような目的にLB膜を応用することは大いに意味のあることと思われる。 ガス透過の実験にLB膜を応用するためには、多孔質膜にLB膜を累積することが必要である。ポリイミドLB膜の作成は、前駆体であるポリアミド酸長鎖アルキルアミン塩のLB膜をまず作成し、このものを無水酢酸とピリジンの混合溶液に浸せきして行われる。このため基板の材料は無水酢酸ーピリジンの混合溶液で侵されないものであることが必要である。このような耐薬品性の材料として、ポリプロピレンがあげられる。本研究では、ポリプロピレンの多孔質膜として市販されている、「ジュラガード2400」を使用し、まずこの基板上へのポリイミドLB膜の累積挙動を走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して詳細に検討した。その結果、20層のポリイミドLB膜を累積するとほぼ完全に多孔質膜の穴が被覆されることが明かとなった。そこで、累積層数を20層から100層まで変化させてガス透過の実験を行ったところ、その透過係数は8×10^<-3>(cm^3/cm^2・s・cmHg)から2.5×10^<-3>(cm^3/cm^2・s・cmHg)まで変化し、透過係数が膜厚の影響を受けていることがわかる。しかし、酸素と窒素の透過係数の比は、いずれの場合でもほぼ1であり、膜に微細な空孔が存在していることを示唆している。このように、本年度は、ポリプロピレン多孔質膜へのポリイミドLB膜の累積条件を詳細に検討し、空孔を被覆しながら累積する条件を見いだしたが、ガス透過の実験においては空孔の存在が示唆された。これはポリイミドLB膜とポリプロピレン多孔質膜との密着性に問題があるように思われる。来年度は、酸素プラズマ等により多孔質膜表面の改質をはかり、空孔の少ないLB膜の作成を目指すとともに、超薄膜におけるガス透過の物理的取扱を検討する。
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