1989 Fiscal Year Annual Research Report
高温用レオメ-タ-の開発と高性能高分子材料の加工に関する研究
Project/Area Number |
63850181
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
升田 利史郎 京都大学, 医用高分子研究センター, 教授 (10026007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧川 敏算 京都大学, 医用高分子研究センター, 助手 (50201603)
高橋 雅興 京都大学, 工学部, 助手 (50115870)
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Keywords | 高温用レオメ-タ- / 高分子溶融物 / 高分子固体 / レオロジ- / 粘弾性 / 高性能高分子材料 |
Research Abstract |
耐熱性、高弾性率、高強度を有する高性能高分子材料が実際に使用されるためには、その成形加工過程とそれに影響される最終物性が重要な問題である。これまで高温でのレオロジ-測定のための装置がなく、成形加工過程の解析と設計に困難な問題が存在した。また固体の力学特性が広い温度範囲で把握できる測定装置についても不満足な状態であった。本研究においては、この現状をふまえ、(1)高分子材料の粘弾性的特性を-100℃から500℃まで測定可能なレオメ-タ-を開発し、(2)最近盛んに開発されつつある高性能高分子材料の力学特性を測定し、材料の特性を解析、把握することによって、(3)新しい高分子素材の成形加工過程の設計に寄与することを目的としている。 初年度においては、レオメトリックス社製動的粘弾性測定装置RSAIIに一部改良を加えることによって、新しいレオメ-タ-の開発の目的を達成することができた。市販の高分子材料を使用してその測定能の検討を行い、優れた性能を確認した。 第2年度においては、代表的な高性能高分子材料である、コポリエステル系高分子液晶材料及びポリエ-テルエ-テルケトン(PEEK)についてその粘弾性的性質を広い温度範囲で測定した。さらにPEEKについては、種々の温度で延伸試料を作成し測定を行い、成形加工条件と高分子材料の力学特性の関係を詳細に調べた。その結果、成形加工時に延伸された材料では結晶化温度で結晶化速度が高いこと。無定形部分の緩和(ガラス転移)形式が分子鎖の勾束の程度によって二種類存在することなどが明らかになった。この成果は直ちに、高分子加工過程の設定に応用され、実際の問題の解決に役立った。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 劉端林: "ポリスチレン-ポリエチレン系ブレンドの動力学的性質" 高分子論文集. 46. 95-100 (1989)
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[Publications] Toshiro Masuda(升田利史郎): "Rheology and Phase Transition in 30% Solutions of Styrene-Butadiene Radial Block Copolymers" Journal of Rheology. 33. 469-480 (1989)
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[Publications] Masaoki Takahashi(高橋雅興): "Nonlinear Viscoelasticity of ABS Polymers in the Molten State" Journal of Rheology. 33. 709-723 (1989)
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[Publications] 李林: "ポリスチレン溶融物の動的粘弾性に及ぼすC_aCO_3粒子の影響" 日本レオロジ-学会誌. 17. 145-149 (1989)
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[Publications] 升田利史郎: "ポリアミド/スチレン-アクリロニトリル共重合体ブレンド系の相構造とレオロジ-的性質" 日本化学繊維研究所講演集. 46. 1-8 (1989)
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[Publications] 高橋雅興: "二様分子量分布をもつ高分子からみ合い系の粘弾性" 日本レオロジ-学会誌. 17. 211-217 (1989)