1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63850190
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
松永 是 東京農工大学, 工学部, 教授 (10134834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 佳代子 慶応義塾大学, 医学部, 助手
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Keywords | 走磁性細菌 / 磁気微粒子 / 白血球 / マクロファ-ジ / 顆粒球 / 磁気分離 |
Research Abstract |
走磁性細菌は菌体内に50〜100mmのマグネタイト微粒子を常温・常圧下の条件で合成することができる。また、その周りは有機薄膜で覆われていることから、金属の溶出もなく、分散性にも優れている。申請者らは、白血球中のマクロファ-ジや顆粒球に走磁性細菌を取り込ませて、リンパ球と磁気分離する新しい白血球の分離法を考案し、簡便な高純度のリンパ球、マクロファ-ジ、顆粒球の獲得が可能であることを示した。そこで、本研究は走磁性細菌を利用した白血球磁気分離装置の開発を目的として、平成元年度は走磁性細菌の単菌分離および大量培養、走磁性細菌または磁気微粒子を取り込んだマクロファ-ジや顆粒球の磁気誘導、白血球分離装置の作製などについて行った。。まず、新たに分離した走磁性細菌に炭素源としてコハク酸、窒素源として硝酸ナトリウム、鉄源としてキナ酸鉄を用いて、微好気的に培養したところ10^8〜10^9cells/mlまで増殖可能であった。また、走磁性細菌の大量培養を1tの発酵槽を使用して行ったところ、湿菌体で900g、乾燥菌体で100gの走磁性細菌を獲得できた。走磁性細菌を取り込んだマクロファ-ジは0.3T/cmの磁場で磁気誘導できた。一方、リンパ球に対する磁場の影響は観察されなかった。さらに、白血球磁気分離装置を試作し、磁気微粒子を取り込んだマクロファ-ジ、顆粒球とリンパ球の分離を行った。従来のカルボニル鉄を用いた場合と比べて、リンパ球中へのマクロファ-ジ、顆粒球の混入率は少なかったが、まだ1%程度の混入が認められた。磁性細菌粒子を取り込んだ食細胞(マクロファ-ジ、顆粒球)は外部磁場により誘導可能であり、現在、マウスを用いて動物実験を行っている。さらに磁気分離部に担体等を使用することにより、高効率な分離を試みる。また、磁気分離後、得られたリンパ球の回収とその治療への応用についても検討し、白血球成分の有効利用のための研究を行う。
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[Publications] Minoru Funaki: "Identification of the Magnetic Poles on Strong Magnetic Grains from Meteorites Using Magnetotactic Bacteria" J.Geomag.Geoelectr.41. 77-87 (1989)
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[Publications] Tadashi Matsunaga: "Phagocytosis of Bacterial Magnetite by Leucocytes" Appl.Microbiol.Biotechnol.31. 401-405 (1989)
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[Publications] Tadashi Matsunaga: "Biosensors Using Bacterial Magnetites" Proceedings of the MRS International Meeting on Advanced Materials,Vol.14. 39-44 (1989)
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[Publications] Tadashi Matsunaga: "Mass Culture and Application of Magnetotactic Bacteria Capable of Growing Aerobically" IEEE Trans.Magnetics.
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[Publications] Noriyuki Nakamura: "Chemical Sensor Technology,Vol.2" Kodansha Ltd., 286 (1989)
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[Publications] 松永是: "バイオ・高分子研究法4 特異な機能を有する微生物とその応用" 学会出版センタ-, 216 (1989)