1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63860002
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
常脇 恒一郎 京都大学, 農学部, 教授 (20026438)
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Keywords | パンコムギ / 半数体育種法 / Salmon法 / EMS処理 / 1B-1R転座染色体 / 染色体工学 / 稔性回復遺伝子 |
Research Abstract |
パンコムギの一系統Salmonに存在する1B-1R転座染色体と、Aegilops属に存在する半数体誘発細胞質の両方をもつパンコムギ系統では、正常種子から高頻度に半数体が得られるが、これらを染色体倍加しても雄性不稔系統しか得られない。そこで、本研究では、半数体誘発細胞質としてS^υ型細胞質の1つであるAe.kotscheyiの細胞質を用い、その存在下で半数体誘発を抑制はしないが、正常な花粉稔性を回復できる遺伝子型、すなわちRful spgを得るため、2つの研究を実施している。それぞれについて本年度行った研究の概要は以下のとおりである。 (1)EMS処理によるSpgからspgへの突然変異誘発とRful spgのスクリ-ニング:EMS処理を行った(kotschyi)-Chinese Spring^<注1)>のM_2世代の150系統の花粉を(kotschyi)-Salmonに交配し、それらのF_1より種子を採取したので、現在それぞれの後代の半数体出現率を調査中である。また、本年度、別のM_2系統約550を(kotschyi)-Salmonに交配できたので、得られたF_1雑種を栽培中である。 (2)既存の1B-1R転座染色体保持品種におけるRfu1 spg遺伝子型のスクリ-ニング:1B-1R転座染色体をもつ18品種(または系統)の花粉を(kotschyi)-Chinese,Spring及び(kotschyi)-Salmonに交配して育成したF_1雑種の花粉稔性と、その次代における半数体の出現率を調査した。その結果、目的とする遺伝子型Rfu1 spgをもつと思われるものが5品種見出された。これを再確認するため、これら5品種と(kotschyi)-ChineseSpringのF_1雑種に前者の花粉を交配してB_1雑種を育成した。これらの花粉稔性と半数体誘発能を確かめるため、現在これらを栽培中である。 注1)Ae.kotschyiの細胞質をもつパンコムギ品種Chinese Springの1系統
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