1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63860003
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩田 伸夫 九州大学, 農学部, 教授 (50038204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 雅宏 京都大学, 食糧科学研究所, 助手 (10160772)
矢野 昌裕 農水省, 北陸農業試験場・作物部, 研究官
吉村 淳 九州大学, 農学部, 助教授 (00182816)
佐藤 光 九州大学, 農学部, 助教授 (70128031)
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Keywords | イネ / 胚乳貯蔵タンパク質 / 成分育種 / 遺伝子資源 / MNU受精卵処理 / 遺伝子分析 / SDSーPAGE / 等電点電気泳動 |
Research Abstract |
(1)九州大学に保有する国内外の在来品種の種子貯蔵タンパク質についてグラジエントゲルを用いたSDSーPAGE分析を行ったところ、多様な変異が存在することをつきとめた。これらの変異中には従来見いだせなかった可消化のタンパク質顆粒PBーIIの主タンパク質で種子貯蔵タンパク質の80%を占めるグルテリンに関する変異が多数見いだされ、しかも変異に多様性が認められた。これらの変異は種子貯蔵タンパク質の改良に対して重要な遺伝子資源となると期待される。 (2)種子貯蔵タンパク質に関する遺伝子資源の開発と評価を効果的に行うため、等電点電気泳動法(IEF)について検討した。種子タンパク質の分別抽出法や泳動条件を改良し、遺伝子分析や変異体の選抜に必須である単粒分析法を確立することができた。本法は多数の検体を迅速かつ鮮明に分析することができ、SDSーPAGE法と組み合わせることによって、種子貯蔵タンパク質に関しより多様な遺伝子資源の開発が行えるものと期待される。 (3)IEF分析の結果、グルテリン酸性サブユニットおよび塩基性サブユニットはそれぞれ13および9種の等電点を異にするペプチド群から構成されていた。一方、PBーIの主タンパク質であるプロラミンは10〜15種のペプチド群に分かれるが、その構成は品種によって大きな差異が認められた。 (4)グルテリンに関する3種の変異体は不完全優性の単遺伝子突然変異で、共に複対立の関係にある。トリソミック分析の結果、これらの突然変異を支配する遺伝子は染色体1、2、3のいずれかに座乗することが明かとなった。 (5)良タンパク質米育成のため<espー1>___ー,2__ー,3__ーおよび<Espー4>___ー遺伝子の育種学的評価を行った。これらの遺伝子を有する突然変異系統は劣悪形質を持つため、直接利用することは困難と考えられた。実用品種を交配母体として早生化、穂相の改良を行うことによって実用化が期待される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Kumamaru,H.Satoh,T.Omura and M.Ogawa: "Mutants for rice storage proteins.IV.Maternally inherited mutants for storage proteins of protein bodies in the starchy endosperm." Heredity. 64. 9-15 (1990)
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[Publications] M.Ogawa,T.Kumamaru,H.Satoh,T.Park,N.Nagao,K.Baba and K.Tanaka: "Mutants for rice storage proteins.5.Isolation and characterization of proteinaceous particles from a rice mutant with high accumulation of 57ーkDa precursor polypeptide of glutelin." Theor.Appl.Genet.(1991)