1989 Fiscal Year Annual Research Report
DNA・RNA関連酵素阻害多糖の開発、阻害機構の解析とその応用
Project/Area Number |
63860014
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大石 邦夫 日本大学, 農獣医学部, 教授 (90013317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 省吾 株式会社紀文フードケミファ, 化成品部, 部長
森本 眞 協和発酵工業株式会社, 医薬研究所, 主任研究員
野本 正雄 国際学院埼玉短大, 食物栄養科, 教授 (90164748)
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Keywords | 制限酵素 / DNAリガ-ゼ / 逆転写酵素 / レトロウィルス / 酵素阻害 / 海藻多糖 / 硫酸化多糖 / スパイス |
Research Abstract |
1.海藻の硫酸多糖の1種カラギ-ナンは、種々の制限酵素に対し特異的の高い阻害を示す。カラギ-ナンゲルを用いて検討したところ、阻害の強さはゲルに対する酵素の結合の強さと高い正の相関を示すことがわかった。このゲルは、細菌プロテア-ゼ、非特異的ヌクレア-ゼを吸着しないので、カラギ-ナンは制限酵素精製ゲルの担体であると同時にリガンドとして有効と思われる。 2.制限酵素のうち、BamHI、PvuIIはカラギ-ナンゲルに強く吸着されるが、活性を阻害されない。これらの酵素を結合させたカラギ-ナンゲルは、固定化制限酵素として有効と思われる。 3.バラ科キイチゴ属の植物には、レトロウィルス逆転写酵素阻害活性の強いものが多いことを認め、活性の器官間分布、季節的変動について検討を加えた。 4.レトロウィルスMーMuLVの逆転写酵素に対し強い阻害活性を示したカジメ(海藻)、クロ-ブ(香辛科)バラ(香草)の各熱水抽出液は、いずれも1ー10μg/mlのオ-ダ-でMT細胞へのHlVーIの感染・増殖を強く抑制し、また、少くとも100μg/mlまでの濃度で細胞毒性を示さなかった。 5.カジメ抽出液中のHlVーI抑制物質はフカン硫酸であった。クロ-ブ中の有効成分は極性の高い主成分と低い成分に2大別されたが、後者は細胞毒性が強かった。前者中の1成分は糖を1ケ含むフラバン化合物であった。他の成分は分子量の異るタンニン化合物の混合物と考えられた。バラの有効成分は、やはり分子量の異るカテコ-ルタンニンの混合物であった。
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[Publications] Oishi K.,Aoi S.,Ehara Y.,Otsuka Y.,Shimamura K.,Higuchi Y.,&Nomoto M.: "Inhibition of restriction endonucleases by commercial polysaccharides." J.Ferment.Bioeng.Submitted.(1989). (1990)
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[Publications] 加藤順,砂盃吉孝,葉田秀雄,小川政博,大石邦夫,八巻寛: "市販多糖標品によるレトロウィルス逆転写酵素の阻害" 日本大学農獣医学部学術研究報告. 47. (1990)
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[Publications] 加藤順,遠藤達弥,河村英昌,中島豊,古越久美子,大石邦夫: "香辛科の熱水抽出物による制限酵素の阻害" 日本大学農獣医学部学術研究報告. 47. (1990)
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[Publications] Oishi K.: "Inhibition of retroviral reverse transcriptase by hot water extracts of herbs and spices." J.Ferment.Bioeng.
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[Publications] Oishi K.: "M-MuLV and HIV revers transcriprase-inibitors in clove and rose." J.Ferment.Bioeng.
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[Publications] 大石邦夫: "食品とエイズウィルス 月刊フ-ドケミカル2月号P.4ー6" 食品化学新聞社, 3 (1990)