1988 Fiscal Year Annual Research Report
抗炎症剤sーラクトイルグルタチオンの大量生産法の開発とその薬粧領域への応用
Project/Area Number |
63860015
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木村 光 京都大学, 食糧科学研究所, 教授 (80026541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 淳一 京都府立医科大学, 薬理学, 助手 (50188132)
村田 幸作 京都大学, 食糧科学研究所, 助教授 (90142299)
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Keywords | Sーラクトイルグルタチオン / グリオキサラーゼI / 抗炎症作用 / 遺伝子工学 / 陽イオン交換体 |
Research Abstract |
Sーラクトイルグルタチオンはメチルグリオキサールとグルタチオンから、酵素グリオキサラーゼIの作用により合成されるグルタチオンチオールエステルの一種である。本化合物は強い抗炎症作用を有し、その薬理効果はアミノピリンやインドメタシンに匹敵する。本化合物を大量に調製するために、本研究では(1)培養工学的手法、並びに(2)遺伝子工学的手法を用い、種々の生産条件を検討した。 1.酵母Saccharamyces cerevisiaeをグリセロールを唯一の炭素源として培養すると、グリオキサラーゼI活性はグルコース培地で生育させた場合と比べ約20倍に上昇した。そこでグリセロール培地で生育させた酵母の無細胞抽出液を用い2g/lのSーラクトイルグルタチオンを生産した。 2.細菌Pseudomonas putidaのグリオキサラーゼI遺伝子をクローニングし、大腸菌Escherichia coli C600細胞内で発現させた。その結果、グリオキサラーゼI活性は親株と比べて約120倍に増強された。そこでグリオキサラーゼI遺伝子を導入した大腸菌の無細胞抽出液を用いてSーラクトイルグルタチオンの生産を検討した結果、30g/lのSーラクトイルグルタチオンを合成することに成功した。 以上のようにして合成したSーラクトイルグルタチオンを分離精製する手段として、セレンを用いて反応液中に残存する還元型グルタチオン(GSH)を酸化型(GSSG)とし、陽イオン交換樹脂カラムに導通する方法を開発した。本法により高純度のSーラクトイルグルタチオンを効率良く分離することが可能となった。
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[Publications] Yoshiharu Inoue: J.Biochem.(Tokyo). 102. 583-589 (1987)
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[Publications] Nobuhiko Kosugi: Appl.Microbiol.Biotechnol.28. 263-267 (1988)
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[Publications] Kousaku Murata: Biochem.Biophys.Res.Commun.153. 767-772 (1988)
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[Publications] Kousaku Murata: J.Ferment.Technol.66. 495-500 (1988)
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[Publications] Hae-iK Rhee: Protein Nucleic acid and Enzyme. 33. 1610-1614 (1988)