1988 Fiscal Year Annual Research Report
新インドール系植物ホルモン類の合成と植物培養細胞系への応用研究
Project/Area Number |
63860017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
丸茂 晋吾 名古屋大学, 農学部, 教授 (30023394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
夏目 雅裕 名古屋大学, 農学部, 助手 (10201683)
坂神 洋次 名古屋大学, 農学部, 助教授 (80107408)
二谷 文夫 日本化薬, 農薬研究所, 主任研究員
片山 正人 名古屋大学, 農学部, 助手 (90177410)
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Keywords | オーキシン / アンチオーキシン / 5,6ージフルオロインドールー3ー酢酸 / 5,7ージフルオロインドールイソ酪酸 |
Research Abstract |
我々は5,6ージクロロインドール酢酸(5,6ーCl_2ーIAA)および5,7ージクロロインドールイソ酪酸(5,7ーCl_2ーIIBA)を合成してそれぞれが強力なオーキシンおよびアンチオーキシン活性を有することを見い出したが、この成果を発展させて、塩素原子を原子半径が小さくかつ電気陰性度の高いフッ素原子に置換した含フッ素インドール系オーキシンおよびアンチオーキシン類の合成とその生物活性の究明を行った。含フッ素インドール酢酸の合成には適切な位置にフッ素置換したアニリン誘導体を出発物質としてFischerインドール合成法によって行い、4および6ーFーIAAさらには4,5ー、5,6ー、5,7ーF_2ーIAA、また、5,7ーF_2ーIAAの側鎖メチレン基のモノおよびジメチル化によって5,7ーF_2ーIPAおよび5,7ーF_2ーIIBAを合成した。これらの合成化合物をアベナ子葉鞘伸長テストで調べると5,6ーF_2ーIAAが他のどの含フッ素インドール酢酸類よりも活性が強く、続いて4,5ーF_2ーIAA、6ーFーIAA、4ーFーIAA、5,7ーF_2ーIAAの順に活性が低下した。5,6ーF_2ーIAAの特徴を5,6ーCl_2ーIAAと比較すると最適濃度は5,6ーCl_2ーIAAが低濃度域にあり、一方、アベナ切片の伸長度は5,6ーF_2ーIAAの方がより伸ばしたという大変興味深い結果を得た。また、マングビーン幼植物を用いた側根形成テストにおいても5,6ーF_2ーIAAは最も強い活性を示し、しかも側根伸長の度合は5,6ーCl_2ーIAAよりも際だって良好であった。このように、新たに合成した5,6ーF_2ーIAAは5,6ーCl_2ーIAAとは異なる特徴を持つ新オーキシンとして将来が期待される。一方、5,7ーF_2ーIAAはアベナ子葉鞘伸長抑制テストにおいてアンチオーキシン様活性を示し、その活性の強さは、5,7ーCl_2ーIIBAには及ばないものの代表的な既知アンチオーキシンであるPCIBを上回る結果を得た。今後、今回得た興味ある5,6ーF_2ーIAAの特徴を生かした植物生長調節剤として植物培養細胞系への応用を計る予定である。
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Research Products
(1 results)