1988 Fiscal Year Annual Research Report
低分子低免疫原性物質に対する新しい効率良い抗体作成法の開発
Project/Area Number |
63870013
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 圭三 東京大学, 薬学部, 教授 (30072937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 和己 東ソー, 生物工学研究所, 研究員
金井 晃 東ソー, 生物工学研究所バイオ推進室, 室長
梅田 真郷 東京大学, 薬学部, 助手 (10185069)
工藤 一郎 東京大学, 薬学部, 助教授 (30134612)
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Keywords | モノクローナル抗体 / リン脂質 / 動脈硬化 / 血栓症 / ホスホリパーゼA_2 / ホスファチジルイノシトール4、5二燐酸 / ホスファチジルセリン / 脾内免疫法 |
Research Abstract |
本年度に得られた新知見は以下の通りにまとめられる。 1.マウス脾内に免疫することにより、これまで特異的抗体の作製が困難とされていた各種リン脂質に対しモノクローナル抗体を作製する系を確立した。その結果、細胞機能発現に重要な役割を果たし、活性リン脂質として注目される、ホスファチジルイノシトール4、5二燐酸及びホスファチジルセリンに対し各種特異性を有するモノクローナル抗体を樹立した。更に生体膜脂質の主成分であるホスファチジルコリンに対しても初めて細胞膜への結合性を有するモノクローナル抗体の作製に成功した。近年、心筋梗塞の主原因となる動脈血栓症、各種の静脈血栓症、脳血管障害、神経症等の各種疾患と抗リン脂質抗体の出現との強い相関が報告されている。これらの抗リン脂質抗体は抗体のリン脂質認識機構について更にその各種血管障害との関連を検討する上で有用な手段を提供すると考えられる。 2.種間でホモロジーの高い小分子ペプチド、インシュリンCペプチドを用いモノクローナル抗体の形成効率の検討を行った。抗原の投与部位は脾内とし、まず蛋白結合性の各種メンブレンのキャリアーとしての活性を検討した結果、ニトロセルロース紙、及び珪酸アルミニウム粉末のゼオライトが有効であることが明らかとなった。短時間での免疫後は主にIgM抗体が得られたが、2ug/マウスの抗原量で、免疫後26日目と30日目にブーストすることにより初めてIgG抗体が得られた。 3.微量抗原及び精製困難なタンパク質に対するモノクローナル抗体の作製。生体内の微量成分であり、反復免疫の困難であるホスフォリパーゼに対し、脾内免疫を行うことにより効率よくIgG抗体を作製する系を確立した。更に同方法をヒトリュウマチ患者関節腔内に浸潤するホスホリパーゼに対しても応用しモノクローナル抗体を得た。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 梅田真郷: 実験医学. 6. 915-919 (1988)
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[Publications] 宮沢淳夫: Molecular Immunology. 25. 1025-1031 (1988)
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[Publications] 村上誠: J.Biochem.104. 884-888 (1988)