1988 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化発生に関与するLDLの修飾過程の解明とその予防並びに治療法の開発(モデル動物を用いたスクリーニングを中心に)
Project/Area Number |
63870014
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北 徹 京都大学, 医学部, 教授 (60161460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大郷 利治 エーザイ, 研究開発本部, 探索第一研究部長
堀内 正公 熊本大学, 医学部, 講師
成宮 周 京都大学, 医学部, 助教授 (70144350)
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Keywords | マクロファージ / 泡沫細胞 / 修飾LDL / 受容体 / スーパーオキサイド |
Research Abstract |
虚血性心疾患の根本病因と考えられる粥状動脈硬化症の発症に血中低比重リポ蛋白(LDL)が重要な役割を果たしていることは周知の事実である。また粥腫形成の初期においてはマクロファージ(Mφ)を起源とした泡沫細胞の集簇が特徴的所見としてみられる。従来よりinvivoにおけるatherogenicなリポ蛋白が何であるのか、invitroの系を用いて研究されてきたが、最近LDLを修飾するとMφで泡沫化することが明らかになり、生体内での修飾LDLの存在の可能性が問題となってきた。現在、アセチルLDL、酸化LDL、タバコ煙修飾LDL(CS-LDL)等の修飾LDLがMφを泡沫化させることが明らかになっているが、今回の研究において我々は、まずそれらの修飾LDLが如何なる機構でMφを泡沫化するかにつき検討した。次にタバコ煙によるLDLの修飾に関与する物質の同定およびLDLの修飾を防止する物質の発見を試みた。(結果)従来よりMφには、アセチルLDLを特異的に認識する受容体の存在が明らかになっている。今回さらに酸化LDL、CS-LDLについてもMφへの取り込みを検討したところ、MφにはアセチルLDLを特異的に認識する受容体に加えて、酸化LDL、アセチルLDL両者を共に認識する受容体、及び酸化LDLを特異的に認識する受容体がそれぞれ存在することが判明した。CS-LDLのMφへの取り込み機構は、competition studyの結果酸化LDLと類似の機序によると考えられた。酸化LDLの形成に関しては、ラジカルスキャベンジャーであるBHT、ビタミンE、およびプロブコールがLDLの酸化を有効に防止することが判明した。従って上記物質により修飾を防止することによりMφの泡沫化は抑制されると考えられる。また、CS-LDLの形成にはスーパーオキサイドが重要な役割を果たしており、SODによりLDLのタバコ煙による修飾は抑制されるが、その抑制は約50%であることが明らかとなった。残りの50%がどの様な修飾によるのか検討中である。
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[Publications] Nagano,Y.,;Kita,T.,;Yokode,M.;Ishii,K.;Kume,N.;Ootani,H.;Arai,H.;Kawai,C.: Arteriosclerosis.
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[Publications] Arai,H.;Kita,T.;Yokode,M.;Narumiya,S.;Kawai,C.: Biochem.Biophys.Res.Commun.
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[Publications] Sekine,A.;Fujiwara,M.;Narumiya,S.: J.Biol.Chem.in press.
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[Publications] Narumiya,S.;Morii,N.;Sekine,A.;Fujiwara,M.: J.Biol.Chem.263. 17255-17258 (1988)
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[Publications] Takata,K.;Horiuchi,S.;Araki,N.;Shiga,M.;Saitoh,M.;Morino,Y.: Biochim.Biophys.Acta.
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[Publications] Horiuch,S.;Takata,K.;Araki,N.;Morino,Y.: Journal of Molecular Recognition.