1988 Fiscal Year Annual Research Report
化学物質の遺伝毒性予知を目的としたDNA損傷解析法の開発
Project/Area Number |
63870027
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川西 正祐 京都大学, 医学部, 講師 (10025637)
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Keywords | ヒトがん原遺伝子 / 過酸化水素 / OHラジカル / 一重項酸素 / プロモーター活性 / 金属 / ベンゼン / オルトフェニルフェノール |
Research Abstract |
発がん性物質とヒトがん原遺伝子DNAとの反応を解析する方法を開発した。1)DNA試料は、制限酵素を用いてヒトがん原遺伝子のエクソン部分のDNA断片をとりだし、5′ー末端を^<32>P-ATPを用いてラベルし調整した。2)種々の化合物とDNAとを緩衝液中で反応させ、ゲル電気泳動を行い、オートラジオグラフィーを作成し、デンシトメトリースキャニングを行って反応性を定量化する方法を確立した。3)DNA損傷をもたらすメカニズムを解明するために、種々の化学物質が薬物代謝系、過酸化脂質ないしは過酸化水素の存在下で発生する有機ラジカル、OHラジカルおよび一重項酸素をESRで測定した。この方法により次のような結果が得られた。(1)動物実験で発がん性が疑われているブタジエンジオキシド、ジメチル硫酸、βープロピオラクトンなどの直接アルキル化剤がDNAと強く反応した。発がん性が疑われているアクリロニトリルはミクロゾームとNADPHで活性化した時のみDNAと強く反応した。(2)発がん性やプロモーター活性が知られている金属のうち、6価クロム、ニトリロ三酢酸鉄(III)キレートに加えてニッケル(II)やコバルト(II)が過酸化水素の存在のもとでOHラジカル、一重項酸素などの活性酸素を生成し、DNA鎖の切断と塩基の損傷をもたらすことを明らかにした。Maxam-Gilbert法を併用した結果、活性種により塩基損傷の特異性があることが判明した。(3)Amesテスト陰性の発がん物質ベンゼンやオルトフェニルフェノールの代謝物が銅(II)イオンの存在のもとでDNA損傷をもたらすことを明らかにした。このようにDNA分子レベルでの反応解析法は、細菌の系のみによる変異原性の検定法の欠点を補うことができる。これまでの研究により、発がん性とDNAとの反応性との間には定性的な相関関係が認められた。さらに研究を進めることによって、ある程度の発がん性の予知が可能となろう。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 川西正祐: 蛋白質・核酸・酵素. 33. 2838-2843 (1988)
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[Publications] S.Kawanishi: Cancer Research. 49. 164-168 (1989)
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[Publications] S.Kawanishi: Biological Trace Element Research. in press. (1989)
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[Publications] S.Kawanishi: Biochemical Pharmacology. in press. (1989)
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[Publications] S.Inoue: Biochemical and Biophysical Research Communications. in press. (1989)
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[Publications] 川西正祐: 病態生理. 印刷中. (1989)