1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63870034
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
近藤 哲理 東海大学, 医学部第2内科, 講師 (90147132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉田 隆 東海大学, 医学部・第2内科, 講師 (00161737)
中村 正彦 東海大学, 医学部・ME学, 教授 (40096243)
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Keywords | 呼吸筋 / 人工呼吸 / 咳嗽 / 横隔膜 / 同期 / 呼吸中枢 |
Research Abstract |
研究の第一段階として、浅麻酔下のイヌで咳嗽を機械的に誘発し、咳嗽と自発呼吸の位相関係、呼吸筋の活動を検討した。咳嗽と呼吸は安静呼吸時は41/119試行で同期、8%炭酸ガス吸入下で同期は29/49と増加、7.5cmH_2Oの持続陽圧呼吸で4/32と低下した。この結果は薬理学実験で推定されるように呼吸中枢と咳嗽中枢が機能的に独立しているならば、両者は各々の相に関して干渉作用があることを示唆している。咳嗽時、横隔膜に呼息性活動が得られたが、この活動は炭酸ガス吸入では誘発し得ず、咳嗽に特有な活動と推定した。この活動出現の時間は咳嗽時の呼息筋活動に比べて有意に遅く、呼息筋とは異なる指令系に支配されるものと考えた。次いで、意識下ボランティアと患者で、人工呼吸中の自発呼吸と人工呼吸のリズムについて検討した。デ-タ処理の過程で、コンピュ-タ-への入力装置の開発を行い、現在は人工呼吸器制御装置の設計段階にある。横隔膜用の食道電極は特注したが、まだ改良を要する。実験は安静呼吸、補助呼吸、調節呼吸(被験者の呼吸にやや先んじて送気)での測定と、被験者が予期せぬタイミングでの送気を行った。調節呼吸時、横隔膜は人工呼吸器作動に約0.19秒遅れて活動を開始、補助呼吸時には呼吸器作動開始以前に活動を開始するが、共に活動は吸息相全域、一部は呼息相に続く。調節呼吸と比較して補助呼吸時に横隔膜活動は数倍大きく、人工呼吸器のトリガ-感度を低下させるとさらに高値となる。被験者の予期せぬ時期に送気を行うと、横隔膜に活動が出現した。長期人工呼吸を行なっている患者から得たデ-タも意識下のボランティアとよく類似していた。これらの結果は、生体に呼吸リズムを人工呼吸に同期するための調節系が存在することを推定させる。補助呼吸時、呼吸器作動開始以前に存在する横隔膜活動はトリガ-のための活動と推定されるが、この活動も「呼吸中枢」からの指令に由来すると考えられた。
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[Publications] 近藤哲理,他: "咳嗽および「いきみ」時の呼吸筋の活動様式" 日本胸部疾患学会誌. 27. 133 (1989)
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[Publications] 鈴木英雄,他: "咳嗽と呼吸活動の関係" 日本胸部疾患学会誌. 27. 313 (1989)
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[Publications] H.Suzuki et al.: "Cough responses with changes of central respiratory activity in anesthetized dogs." Respiration. (1990)
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[Publications] T.Kondo et al.: "Activity of the respiratory muscles during coughing,straining and defecation." J.Appl.Physiol.
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[Publications] T.Kondo et al.: "Activity on diaphragm EMG during mechanical ventilation in awake volunteers" Chest.
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[Publications] 宮入朗,他: "意識下ボランティアにおける人工呼吸と自発呼吸の同期に関する検討" 日本胸部疾患学会誌. 28. (1990)
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[Publications] I.Kobayashi et al.: "Activity of the respiratory muscles during cough and expulsive maneuvers." (1990)
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[Publications] H.Suzuki et al.: "Cough responses with changes of central respiratory activity." (1989)