1988 Fiscal Year Annual Research Report
単一細胞内カルシウムイオン絶対濃度測定用のレーザー螢光顕微鏡システムの開発
Project/Area Number |
63870038
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢崎 義雄 東京大学, 医学部(病), 講師 (20101090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲本 直樹 大塚電子, 研究開発部, 研究員
岡 宏一 大塚電子, 研究開発部, 主任
吉栖 正生 東京大学, 医学部(病), 医員
杉山 卓郎 東京大学, 医学部(病), 医員
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Keywords | 細胞内カルシウムイオン / レーザー螢光顕微鏡 / Indoー1 / 血管平滑筋 / SHR / WKYラット / 高血圧 |
Research Abstract |
A)レーザー螢光顕微鏡の開発 顕微鏡本体は、ライツ社エルゴルス落射螢光顕微鏡を基本とし、Indoー1の励起光の波長320〜350nmに合うように、レンズとフィルターをライツ社に特注して作成し、組み立てた。レーザー光源は、オムニクローム社製HeーCdレーザー装置が研究室に備っていたのでこれを用いた。本装置は紫外線発振レーザーとしては唯一の空冷式であり、簡便に用いられるばかりでなく、信頼性が高い。螢光測光装置は浜松フォトニクス社製フォトマルRー464を用い、レーザー光線を用いた螢光分光顕微鏡を初年度に全て組み立てることが出来た。データ解析にはNECパーソナルコンピューターPCー9801を応用し、測定螢光の分析から細胞内カルシウム濃度を直接算出できるように、標準曲線を基に計算用のソフトを開発して、連続記録を可能にした。螢光色素としては、細胞内に導入しやすく、単一波長の励起光で螢光を発するIndoー1を用いた。 B)開発したシステムを用いた単一細胞内カルシウムイオン絶対濃度測定 本システムの開発によって、従来の方法では不可能であった単一細胞内のカルシウムイオンの絶対濃度ばかりでなく、その経時的な変化を高時間分解能でかつ即時的に測定することが可能となった。我々は本システムを用いて血管平滑筋細胞を培養し、その細胞内カルシウム濃度を測定すると、自然発症を血圧ラット(SHR)では対照のWKYラットと比較して有意に高値を示し、しかも継代培養しても高値は保持された。このことは、SHRでの高血圧の発症維持機構に、血管平滑筋細胞のカルシウムイオン濃度調節機構に異常が存在し、しかも遺伝的に規定されている可能性を示している。このように、本システムの開発によって細胞障害を起こすことなく細胞内カルシウムイオンの絶対濃度が測定可能となり、高血圧を中心とした病態生理の解析がさらに進展すると期待される。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Mashiko-Kurabayashi,et al.: J.Biol.Chem.263. 13930-13936 (1988)
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[Publications] Hidetsugu-Tsuchimochi,et al.: Circulation. 78. 920-927 (1988)
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[Publications] Masahiko-Kurabayashi,et al.: J.Clin.Invest.82. 524-531 (1988)
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[Publications] Issei-Komuro,et al.: Circ.Res.62. 1075-1079 (1988)
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[Publications] Kazuomi-Nomoto,et al.: Circ.Res.62. 1088-1092 (1988)
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[Publications] Masashi-Yanagisawa,et al.: Nature. 332. 411-415 (1988)
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[Publications] Yoshio-Yazaki,et al.: "Distribution of cardiac myosin isozymes in human and rat heartimmunohistochemical study using monoclonal antibodies.Heart function and metabolism." Martinus Nijhoff Publishing,Boston, 293-305 (1987)