1989 Fiscal Year Annual Research Report
骨形成蛋白を添加したアテロコラ-ゲンを応用した新しい人工骨の開発とその臨床応用
Project/Area Number |
63870078
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
榎本 昭二 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (40013940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 暉夫 (株)高研, 日本医用高分子研究所, 所長
名倉 英明 東京医科歯科大学, 歯学部, 助教授 (80013960)
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Keywords | 人工骨 / 骨形成蛋白(BMP) / ハイドロキシアパタイト / アテロコラ-ゲン / 顎骨再建 / 骨誘導 |
Research Abstract |
1)骨形成蛋白の精製:ウシ長幹骨より脱灰骨基質を調製し、塩酸グアニジンを用い骨形成蛋白の抽出を行った。これを蒸留水に対して透析し、生じた沈澱を出発材料とし、分子篩、陽イオン交換、ヘパリンアフィニティ-の各種クロクトグラフィ-を用いた後、最終的に逆相高速液体クロマトを用いて精製した。SDS-PAGEで分子量の確認を行った結果、非還元状態で16Kdと30ー40Kdにスメアなバンドが、還元状態で16Kdと18Kdの二本のバンドが認められた。また、アミノ酸配列の一部を決定したところ、一昨年J.Wozoneyらの発表したBMPー3の一部であることがわかった。したがって、我々の精製した蛋白質のうち16KdのものはBMPー3であると考えられる。また、ヒト歯牙からのヒト骨形成蛋白精製を、ウシ長幹骨の場合と同様にして行った。各クロマトグラフィ-において骨形成蛋白の溶出位置はウシの場合とほぼ同じであった。ウシ長幹骨に較べヒト歯牙の大量入手は困難であるため、今のところ逆相高速液体クロマトを用いた最終精製には至っていないが、現在検討中である。 2)ハイドロキシアパタイト(HA)、アテロコラ-ゲン(AC)、骨形成蛋白(BMP)複合体のサル下顎への移植実験:HAは旭光学製アパセラム顆粒およびブロックを、ACは高研製3%アテロコラ-ゲンゲルを、BMPはウシ長幹骨からゲル濾過によって粗精製を行ったものを用いた。これらを複合し凍結乾燥を行い作製したブロックを、日本猿下顎骨下縁に形成した6×7×10mmの骨欠損に移植し、1カ月、3カ月後に摘出し研磨標本を作製し組織学的に観察した。その結果、対照として移植したBMPを含まないHAーAC複合体では3カ月の時点でも母床骨から僅かな骨伝導認められるのみであったが、HAーACーBMP複合体では完全にHAは新生骨と接合し母床骨と一体化していた。したがって、BMPを用いることによりより優れた人工骨を開発することが可能であると考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 渡辺正敏: "ハイドロキシアパタイト・アテロコラ-ゲン・骨形成因子複合材のラット頭蓋骨欠損部移植による組織学的検討" 日本口腔外科学会雑誌(投稿中).
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[Publications] Masatoshi Watanabe Editor:T.Yamamuro L.L.Hench J.Wilson: "Handbook of Bioactive Ceramics,vol.II,chapter 22(in press).Implantation of Hydroxyapatite Granule with Atelocollagen and Bone Inductive Pritein in rat Skull Defect." CRC Press,Inc.,U.S.A., (1990)