1988 Fiscal Year Annual Research Report
単一細胞における電気活動と形態解析の同時処理システムの開発
Project/Area Number |
63870100
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉本 恒明 東京大学, 医学部(病), 教授 (60019883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉智 嘉久 東京大学, 医学部(病), 助手 (30142011)
飯野 正光 東京大学, 医学部, 助手 (50133939)
丸山 芳夫 自治医科大学, 医学部, 助教授 (00133942)
田中 博 浜松医科大学, 医療情報部, 助教授 (60155158)
豊岡 照彦 東京大学, 保健センター, 講師 (00146151)
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Keywords | 細胞内カルシウム測定装置 / パッチクランプ法 / 単一組織細胞 / 興奮一機能連関 |
Research Abstract |
今年度は本プロジェクトを成功させるための以下の準備的実験及び装置の設置を行なった。 (1)単一細胞で細胞内カルシウムの測定:購入したスペックス社製の蛍光光度測定装置を用い、単一血管血管筋細胞、心筋細胞、単一膵臓腺細胞の細胞内カルシウムの変動をフラー2AMにより測定し、ノルアドレナリンやアセチルコリンなどの生理活性物質による変化をみた。(2)細胞内環境を変化させずに細胞内電気活動を測定する方法として、イオノフォアであるナイスタチンを使用したパッチクランプ法を確立した。このナイスタチン法では、電極先端に接触した細胞膜に1価イオンだけを通過させる小口ができ、膜抵抗が著減する。しかしながら、細胞内のアデニンヌクレオチドの様な代謝物質はこの穴を通過できないので、生理的な細胞内環境を保ちつつ、電気活動の測定が可能となった。この方法で、これまで測定の困難であった気管上皮細胞などでも、繊毛運動を保ちながら電気活動の測定ができる様になった。(3)コントラスト増強法による細胞内構造物の観察に関しては、ラットの腹腔内肥満細胞を使用し、細胞内顆粒の分泌をモデルに検討を加えている。これまでの所、それぞれの細胞内構造物を特定するにはさらに工夫がいると思われる。共焦点顕微鏡の使用を行うか、あるいは細胞内に標色色素を注入するなどの試みを行いたいと考えている。(4)(1)と(2)の成果を基礎に細胞の電気活動の測定と細胞内カルシウムの同時測定を現在行おうとしている段階であり、スペックス蛍光測定装置とパッチクランプセットの設置を完了した。以上、本年度はこのプロジェクトの第一段階であるが、それぞれの準備実験から今後、種々の目的で使用可能な方法(たとえばナイスタチンを用いたパッチクランプ実験)が確立できた。次年度は、これらの準備を基礎に最終目標の各細胞の興奮一機能連関の研究を行うことができる。
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