黒色腫細胞親和性物質を用いた新しい放射線増感剤の開発研究

1988 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 63870107
• Research Category: Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research
• Research Institution: Tokyo Medical and Dental University
• Principal Investigator: 春日 孟 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (40114748)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 鈴木 宗治 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (80013829) ; 北川 昌伸 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (10177834) ; 山田 一郎 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (90182518) ; 伊藤 祥輔 保健衛生大学, 衛生学部, 教授 (70121431)
• Keywords: 悪性黒色腫 / メラニン前駆物質 / 4ーSーcyteaminylphenol / 放射線併用効果 / 相乗効果 / G2@M期ブロック / in vivo / in vitro

Research Abstract

4SーCAPは放射線との併用で、イ.in vitro黒色腫細胞の放射線低抗性の強さを示す生存率曲線の肩部分(shoulder)を特異的に減少させた。(2)二分割照射実験に於いて、4SーCAPは本細胞のElkind回復能および(3)潜在的致死損傷(PLD)の回復を著明に抑制した。(4)flow cytometryによる細胞動態の解析では、黒色腫細胞のG2/M期ブロックは顕著に増強し、有意な相乗効果を示した。
ロ.in vivo実験では、(1)4SーCAPのLD_<50>量は467±32mg/kg、LD_<0 00001>量は304±416〓300mg/kgであった。(2)C57BL/6J系、12ー16週令雄マウスの左大腿部皮下にB16黒色腫培養細胞1×10^5個を移植して、皮下に外表より触知できる腫瘍塊が確認できた時、腹腔内へ4SーCAP=300mg/kgを1回投与する実験、1回投与実験と同様の方法を用いて、5日間連続投与を行なった実験及び1回投与後、24時間以内にX線500rad外部照射併用実験の3実験群によるin vivo黒色腫での腫瘍体積への効果は実験群では対照群に比較して、腫瘍発育遅延および生存日数の延長が認められたが、有意差はなかった。(3)1×10^5細胞のiv注入後24時間目に本物質を5回腹腔内投与して、肺コロニー形成率を測定した実験では、student's t-testでは、p<0.05、Duncan's new multiple rangeでは、p<0.01であった。故に、4SーCAPは対照群に比し有意な効果をしめした。
依って、メラニン生合成の場と特異的親和性の確認されている合成物質4ーSーcysteaminylphenolの類縁物質である4ーSーcyteinylphenol(4SーCAP)は黒色腫細胞の放射線による致死効果を特異的に増強することが明らかにされ、メラニン前駆物質の開発は放射線および抗癌剤に抵抗性を示す悪性黒色腫の治療に光明を与えるものであることが裏付けられた。
上記物質以外にメラニン生合成を抑制するN-acetyl-4-S-cysteaminylphenolが開発され、次年度以降に抗腫瘍効果を検討する。

Research Products

• [Publications] S.Ito;T.Kato;K.Fujita: Biochemical Pharmacology. 37. 1707-1710 (1788)
• [Publications] K.Wakamatsu;S.Ito: Analitical Biochemistry. 170. 335-340 (1988)
• [Publications] I.Yamada;S.Seki;O.Matsubara;S.Ito;S.Suzuki;T.Kasuga: J.Invest.Dermatol.88. 538-540 (1987)
• [Publications] I.Yamada;S.Seki;O.Matsubara;S.Ito;T.Kasuga: Br.J.Cancer. 58. 776-778 (1988)
• [Publications] 山田一郎、関幸子、松原修、伊藤祥輔、春日孟: 第47回日本癌学会総会記事. 47. 543 (1988)