1988 Fiscal Year Annual Research Report
培養腎上皮細胞系を用いた薬物腎毒性スクリーニング法及び毒性防御法の開発
Project/Area Number |
63870108
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堀 了平 京都大学, 医学部, 教授 (40001036)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷川原 祐介 京都大学, 医学部, 助手 (30179832)
神谷 晃 京都大学, 医学部, 講師 (90124792)
乾 賢一 京都大学, 医学部, 助教授 (70034030)
|
Keywords | 腎毒性 / 培養腎上皮細胞 / LLC-PK_1細胞 / アミノグリコシド系抗生物質 / シクロスポリン / シスプラチン |
Research Abstract |
腎臓は薬物排泄の主要臓器であるために、薬物による障害を受けやすい。本研究では、腎毒性を惹起しうるアミノグリコシド系抗生物質、抗癌剤シスプラチン、免疫抑制剤シクロスポリンを中心にして、培養腎上皮細胞系を用いた新しい毒性評価法を確立するとともに、この手法を用いて薬物腎毒性の防御法を開発することを目的とした。本年度においては、以下の成果を得ることができた。 1.培養腎上皮細胞系を用いた薬物毒性評価法の確立:LLC-PK_1細胞を用い、種々の培養条件下にてアミノグリコシド類やシクロスポリンの毒性を比較し、毒性評価のための最適条件を調べた。種々の酵素活性を測定した結果、細胞毒性の指標として刷子縁膜局在酵素やリソソーム酵素活性の測定が有用であることが示唆された。更に、細胞内遊離カルシウム濃度上昇と細胞毒性発現との関連性が明らかになった。刷子縁膜酵素活性の低下を細胞毒性の指標として、種々のアミノグリコシド類による毒性の強さを比較すると、neomycinが最も強く、次いでgentamicin、sisomicin、tobramycin、netilmicin、amikacin、kanamycin、astromicinの順であり、in vivoでの腎毒性の強さの順とほぼ対応することが示唆された。 2.シスプラチンの細胞毒性とその防御:シスプラチン存在下でLLC-PK_1細胞を培養したところ、薬物濃度や処理時間に依存して生細胞数の減少、刷子縁膜酵素活性の低下が見られた。しかしグルタチオンの添加によってシスプラチンの細胞毒性が軽減されたことから、グルタチオンによる毒性防御の可能性が推察された。 以上より、培養腎上皮細胞系は腎毒性のスクリーニング系、並びに毒性発現の防御法を確立する上で有用なモデル系となりうるものと考えられる。
|
-
[Publications] K.Inui: Am.J.Physiol.254. C251-C257 (1988)
-
[Publications] R.Hori: J.Pharm.Sci.77. 471-476 (1988)
-
[Publications] H.Maegawa: J.Biol.Chem.263. 11150-11154 (1988)
-
[Publications] K.Inui: J.Pharmacol.Exp.Ther.247. 235-241 (1988)
-
[Publications] R.Hori: Pharm.Res.5. 694-698 (1988)
-
[Publications] R.Hori: Biochem.Pharmacol.inpress (1989)
-
[Publications] 堀了平: "薬物血中濃度モニタリングのためのPopulation Pharmacokinetics入門" 薬業時報社, 1-300 (1988)
-
[Publications] 堀了平: "生物学的利用能" ソフトサイエンス社, 312-326 (1988)