1988 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質工学の手法により生産された蛋白質の構造に関する研究
Project/Area Number |
63890008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
太田 隆久 東京大学, 農学部, 教授 (30011844)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
京極 好正 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (90012632)
郷 信広 京都大学, 理学部, 教授 (50011549)
大井 龍夫 京都女子大学, 家政学部, 教授 (00027012)
三浦 謹一郎 東京大学, 工学部, 教授 (30000227)
別府 輝彦 東京大学, 農学部, 教授 (80011873)
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Keywords | 蛋白質工学 / 蛋白質の構造形成 / フォルディング / NMRによる蛋白質構造解析 |
Research Abstract |
蛋白質の高次構造変化の理論的解析については、郷は蛋白質構造のエネルギー計算により、特に構造のゆらぎのシミュレーション解析を行い、大井は蛋白質と水との相互作用が構成原子のコンフォメーションに依存して水と接触できる表面積に比例するとの考えから、天然状態と変性状態との2状態転移過程を解析し、水中では変性現象が分子鎖によるエンタルピーとエントロピーの兼ね合いと水和による自由エネルギーとの微妙なバランスで支配されていることを解明した。 溶液中での蛋白質の構造変化の検出法の解析については、京極が部位底異的変異による変異蛋白質の二次元NMRによる構造解析の手法の検討を行い、甲斐荘は^<13>Cー標識したアミノ酸を用いてカルボニル炭素とα炭素のみを選択的に標識する方法と特定アミノ酸残基のカルボニル基を^<13>C、全窒素を^<15>Nで標識し^<13>Cー^<15>N相関スペクトルによる主鎖アミド窒素ーNMRシグナル帰属法を開発し、蛋白質の溶液中の立体構造を迅速に決定する技術の基礎を確立した。 蛋白質の生産過程における構造形成に関する寄与の解析については、三浦は放線菌プロテアーゼインヒビターSSI、豚のアデニレートキナーゼ遺伝子の発現過程を解析した。別府はキモシンの直前に各種リーダーペプチドを結合させた融合蛋白質を大腸菌で封入体として生産させ、可溶化、再生後にFPLCのMonoQカラムにかけて、その溶出パターンを天然型N末のプロキモシンの場合と比較することにより、構造生成過程を解析した結果、融合蛋白質では正しい立体構造のもののピークが著しく小さいことを見出し、また、太田はアクアリシンIの前駆体を含む遺伝子の大腸菌での発現過程の解析から、N末端プロ配列の大部分を欠くと酵素蛋白質が認められず、これらの結果から、N末端配列が蛋白質のフェルディングを支配することを示唆した。
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