2015 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ素クラスターの特性を活かした機能性元素ブロックの構築
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Element-Block Polymer Materials |
Project/Area Number |
15H00734
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 彰浩 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90293901)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | カルボラン |
Outline of Annual Research Achievements |
カルボランクラスターの有するσ共役系を活用した有機π共役系の拡張化を検討するために、o-、m-、p-カルボランクラスターの炭素頂点にトリフェニルアミンやトリフェニルボランを導入したハイブリッド型元素ブロックの有機化学合成を検討し、合成経路の確立に成功した。o-カルボラン元素ブロックは室温で発光特性を示さなかったが、低温域では発光することがわかった。このことは、o-カルボランクラスターに特有な炭素-炭素結合の存在に起因することがわかった。一方、m-、p-カルボラン元素ブロックでは、室温で発光特性を示すことがわかった。またトリフェニルアミンとトリフェニルボランを一つずつ導入した元素ブロックでは、電荷移動型の励起状態からの発光現象が観測されるのに対して、単一の有機π共役系分子ユニットを導入した系では、カルボランのσ共役と有機π共役系分子ユニットのπ共役からなる拡張共役系に起因する励起状態からの発光となることを示すことができた。またトリフェニルアミンを導入したo-、m-、p-カルボラン元素ブロックは、いずれもレドックス活性を示し、可逆な酸化過程を示すことがわかった。また、o-、m-、p-カルボラン元素ブロックを実際に化学酸化すると、ラジカル種が発生し、電子スピン共鳴スペクトルを観測できることがわかった。観測された電子スピン共鳴スペクトルは、特徴的な超微細構造を有しており、o-、m-、p-カルボランクラスターのσ共役を利用して、2つのレドックス中心の間で電荷移動が生じていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り研究を遂行できたから。
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Strategy for Future Research Activity |
酸化種の単離を行い、その分子構造を明らかにするとともに、元素ブロックとしての応用を図る。
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Research Products
(14 results)