2015 Fiscal Year Annual Research Report
元素ブロックプラットフォームを活用した有機分子会合体構造解明および電荷輸送
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Element-Block Polymer Materials |
Project/Area Number |
15H00737
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梅山 有和 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30378806)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | グラフェン / ピレン / 二量体 / 過渡吸収 / 電荷分離 / 遷移金属ダイカルゴゲナイド / 光電気化学素子 / 泳動電着 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究のねらいは、カーボンおよび遷移金属ダイカルコゲナイド(MX2)などの一次元および二次元ナノ構造を有する元素ブロックプラットフォームを活用して有機分子発色団会合体の固定化や、高効率光電変換系の構築を目的としている。 1)単層カーボンナノチューブ(SWNT)やグラフェンなどのナノカーボン材料と、電子豊富なπ共役系化合物との複合体は、人工光合成や光電変換素子の材料として注目を集めている。我々は2014年度までの研究で、ピレニルフェニルラジカルのSWNT側壁への直接付加反応、およびp-ヨードフェニル基で修飾したSWNTと1-ピレンボロン酸とのSuzukiカップリング反応により、SWNT側壁にピレン二量体およびピレン単量体が連結した複合体が得られることを見出している。2015年度の研究では、酸化グラフェンをヒドラジン還元することにより得た化学変換グラフェン(CCG)に対し、同様な一段階および二段階の共有結合修飾を行うことで、ピレン二量体およびピレン単量体をグラフェン平面上に連結することに成功した。ピレン二量体が連結した系では、吸収スペクトルにおいてピレン同士の相互作用に由来する新たな吸収帯が450 nm付近に観察され、また過渡吸収スペクトルにおいて電荷分離状態の形成に由来するシグナルが観察された。 2)MoS2などの遷移金属ダイカルゴゲナイドは、バルクでは間接遷移型半導体であるが、シートを1層にまで剥離すると直接遷移型半導体となることが知られており、光電気デバイスの分野において大きな期待が寄せられている。本研究では、MoS2を単層もしくは数層にまで剥離したMoS2シートを、泳動電着法により酸化スズ電極上に薄膜化することに成功した。得られた修飾電極を用いた光電気化学素子は、高い光電流発生効率(外部量子収率(IPCE)= 11% (400 nm))を示すことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ラジカル付加反応によるピレン二量体の形成を、一次元ナノカーボン材料である単層カーボンナノチューブのみならず、二次元ナノカーボン材料であるグラフェン上においても成功したため。また、遷移金属ダイカルゴゲナイドの電荷輸送による高効率光電流発生に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
光活性の分子の中でも、ポルフィリンは可視領域に大きな吸光係数を持っている安定な電子ドナーとしてSWNTの機能化に広く用いられている。しかしながら、ポルフィリンの二量体を選択的にSWNT側壁上に形成させた例は報告されていない。そこで2016年度の研究では、2015年度までに行った、ナノカーボン上でのダイマーおよびモノマー形成の選択的な合成方法を、ポルフィリン-SWNT複合体に適用し、その構造および光物性を詳細に解明することを目的とする 。 また、優れた電子アクセプター材料である[60]フラーレンおよび[70]フラーレン、あるいは単層カーボンナノチューブなどのナノカーボン材料とMoS2シートとの複合薄膜の作製を泳動電着法により行う。さらにその複合膜を用いた光電変換素子作製し、MoS2シート単膜の場合と比較して高効率な光電流発生の実現を目指す。
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Research Products
(13 results)