2015 Fiscal Year Annual Research Report
14族元素架橋ビアリールを元素ブロックとする白色発光材料の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Element-Block Polymer Materials |
Project/Area Number |
15H00740
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
清水 正毅 京都工芸繊維大学, 分子化学系, 教授 (10272709)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 白色発光 / 蛍光 / ケイ素 / ゲルマニウム / 架橋 |
Outline of Annual Research Achievements |
ケイ素架橋2-アリールインドールを青色発光団とする青色発光性高分子の創製を検討した。具体的には、シロール側のフェニル基にビニル基や4-ビニルフェニレン基を導入した元素ブロックを設計した。元素ブロックの合成は、対応する塩素化体にビニルボロン酸あるいは4-ビニルフェニルボロン酸を鈴木-宮浦カップリングさせることにより行った。ビニル基やビニルフェニレン基を導入すると、吸収極大波長は母体ケイ素架橋2-アリールインドールのそれよりも約60ナノメートルほど長波長シフトした。これは、共役系の伸張に因るものと考えられる。それに伴い、発光極大波長の長波長シフトも観測されたが、その度合いは約20~40ナノメートルであり、吸収スペクトルのそれらよりも小さかった。発光量子収率は、粉末状態では低い値であったが、PMMAフィルムに分散した状態では効率良く青色発光した。続いて、合成した元素ブロックのラジカル重合を行った。得たポリマーはいずれもトルエン溶液中では鮮やかな青色蛍光を発した。一方、粉末や薄膜状態では量子収率は大きく低下した。濃度消光を防ぐために、発光団どうしの距離を拡げることが有効ではないかと考えている。 また、新しい元素ブロックの創製を目指して、ゲルマニウム架橋2-フェニルインドールを設計し、その合成および物性評価を行った。シクロヘキサン溶液中での発光スペクトルは対応するケイ素架橋体よりも短波長シフトすることを見つけた。また、溶媒の極性が向上すると発光スペクトルは、程度は小さいものの、長波長シフトすることがわかった。この結果は、励起状態が分極構造を含んでいる可能性を示唆している。さらに、溶媒DMSO中での発光量子収率が0.9以上になることを見つけた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高効率で青色発光する高分子創製のための元素ブロックを開発し、その高分子化にメドがついた。また、共重合化が発光効率向上に有効であることを認めていて、高効率発光性獲得への手がかりを得ている。さらに、新しい元素ブロックとしてゲルマニウム架橋2-アリールインドールを設計し、この分子がDMSO溶媒中極めて効率よく蛍光発光することを明らかにした。これらの成果が得られていることから、本研究はおおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
青色発光性高分子の開発については、発光団どうしの近接を防ぐことが有効との仮説を立てて、開発した青色発光性元素ブロックとスチレンとの共重合を検討中である。実際、共重合体の発光効率が大幅に向上することを認め、上記作業仮説が有効であることを予備的に認めている。続いて、さらなる分子改良により橙色発光団となる元素ブロックを創製する。そののち、青色発光団と橙色発光団を組み合わせることにより、白色発光材料の開発を目指す。また、ゲルマニウム架橋ビアリールの元素ブロックとしての探索をさらに進める。極性溶媒中での高発光性の要因を明らかにして、極性高分子中で高効率発光する発光団の創製に繋げることを目指す。
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