2015 Fiscal Year Annual Research Report
白色発光を設計した元素ブロックの鎖状希土類錯体の創成
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Element-Block Polymer Materials |
Project/Area Number |
15H00760
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
長谷川 美貴 青山学院大学, 理工学部, 教授 (70306497)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 希土類 / 発光スペクトル / 鎖状錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、発光性有機分子と発光性希土類錯体 LnLを元素ブロックとして鎖状に連結させ、基 板上に固着した発光性薄膜の創成を目的とする。申請者は希土類錯体の発光機構に着眼しこれ までに種々の発光性希土類錯体を合成してきた。Eu および Tb はそれぞれ赤色(R)および緑 色(G)に発光することが知られており、それぞれヘリカルな有機分子(New J. Chem., 2014) と錯形成させ、種々の混合比でリンカー分子と連結させると鎖状構造を形成するとともに金属金属間エネルギー移動が生じることを発見している(Polym. J., 2014, advance online publication on November 5th 2014in print)。 ここでは、先に報告しているヘリカルな希土類錯体を用いたところ、希土類に対して光アンテナとリンカーの役割を担うとともに、自身も青色に(B)発光するアントラセンを組み込んだ。目的とする構造体を得ることはできたが、発光は消光した。これは、ビピリジン骨格の電子帯がアントラセンの電子帯と重なったため、相殺し消光したことがわかった。目的としている発光色変調のために、別の骨格を有する希土類元素ブロックを合成し、アントラセンで連結させたところ、改善が見られた。 これらの研究成果から得られた知見から、いくつかの萌芽的研究が深く進捗しその成果の一部は学術論文として公表することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題は2年間の計画であり、1年目に目標としていた系のユニット(希土類元素ブロック)構築とその発光スペクトル解釈を完成させた。さらに、周辺の系を急速に発展させることができた。初年度は領域会議を通し、多くの新しい元素ブロックの化学を直接理解する機会があり、本年度の鎖状錯体構築とその発光色変調や偏光特性誘導に挑戦する準備が想定以上に整った。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、27年度に合成し、発光スペクトルを解釈した元素ブロックの連結とその膜化をを中心に目的達成を目指す。 具体的には、種々の発光色を示す元素ブロックの鎖状錯体を石英基板に固着化し、温度変化による発光スペクトル測定を行い、その知見をもとに他の 分子のセンシングを試みる。領域代表をはじめ、適宜班員の先生方と議論や意見 交換を積極的に行い、目的達成と領域内連携を充実させる。 薄膜およびその原料となる鎖状錯体の構造解析は、高輝度な X 線を用いる。これまで高輝度放射光研究センターSPring-8 の放射光 XRPD 測定装置を用い、薄膜の系では独自に開発したユニットを同装置に組み込んだ方法を確立している。この装置を利用 し構造解析を試みるため、SPring-8 の使用料を計上する。これらの研究結果は、錯体化学討論 会や高分子学会等で報告するとともに専門家との議論を深化させ、国際的な学術雑誌で報告する。
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