2015 Fiscal Year Annual Research Report
色彩を感知し自ら内部に非対称性を生み出すアメーバロボットの創出
Publicly Offered Research
Project Area | Development of Molecular Robots equipped with sensors and intelligence |
Project/Area Number |
15H00790
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小笠原 慎治 北海道大学, 創成研究機構, 特任助教 (50462669)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アメーバロボット / 光遺伝学 / タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
光の色を感知して自ら内部にタンパク質の非対称分布を生み出し、活動状態を変化させる光応答性自律型アメーバロボットの作製が最終目標である。本年度はそれに実装させるタンパク質発現の光制御システムの開発に取り組んだ。まず、本システムのキー化合物となる光応答性capを合成した。これまでの光応答性capではタンパク質を発現する状態としない状態での発現量の差が2倍であり、この程度の差ではアメーバロボット内部で非対称分布を生み出すことは困難であると判明したため、光応答性capを改良することにした。光応答性capのフェニル基のパラ位にメチル基、エチル基などの官能基を修飾し、発現量の差にどれほど影響するか調べた。その結果、発現量の差はそれほど変わらないが、嵩高い官能基を修飾するとタンパク質を発現する状態であっても発現量が減少してしまうことが分かった。それと並行して、メッセンジャーRNAのRNase耐性を強化する方法を模索した。メッセンジャーRNAの3'非翻訳領域にβグロビンの3'非翻訳領域、αグロビンの3'非翻訳領域、ポリアデノシン付加配列の3種類の処置を組み合わせて施した結果、βグロビンの3'非翻訳領域のみを挿入した場合が最も効果的で通常の2倍程度メッセンジャーRNAの寿命が延びた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
メッセンジャーRNAのRNase耐性を強化するテーマでは一定の成果を得た。しかし、光応答性capの開発で当初の計画通りでは改善が望めないと判明したため、新たに分子設計をやり直す必要が出た。それにともない、本年度行う予定であったアメーバロボットの駆動源となるタンパク質PAK1およびインテグリンと蛍光タンパク質を融合したmRNAの作製を行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題を成功させるには、第一に最適な光応答性capの開発が不可欠である。本年度の結果を参考に、分子設計を改める。光応答性capのフェニル基のパラ位ではなく、オルト位、メタ位にメチル基などの官能基を修飾することから始め、それでもよい結果が得られなければ、電子供与性または吸引性の高い官能基を修飾して、電子密度を大きく変化させる手段をとる。タンパク質を発現する状態としない状態との差が5倍程度を目指す。それが完了した後、PAK1およびインテグリンと蛍光タンパク質を融合したmRNAを製作し、まずは細胞をアメーバロボットに見立て、パターン照明下で自律的な活動変化が引き起こるか調べる。その過程もクリアしたら、リポソームに無細胞翻訳系とmRNAを封入したアメーバロボットにおいて同様の操作を行う。
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Research Products
(3 results)