2015 Fiscal Year Annual Research Report
超高速演算分子ブースターシステムの構築
Publicly Offered Research
Project Area | Development of Molecular Robots equipped with sensors and intelligence |
Project/Area Number |
15H00804
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
嶋田 直彦 東京工業大学, 生命理工学研究科, 助教 (10423972)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | DNA鎖交換反応 / カチオン性高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
分子ロボットの知能には、DNAから構成される分子ロボットはDNA鎖同士の交換反応(DNA鎖交換反応)が素反応とするDNA論理ゲートが用いられる。DNA鎖交換反応は二重鎖に対して、その相補鎖である一本鎖DNAを加えると鎖が交換する反応である。しかし、DNA鎖置換反応は遅いために、分子ロボットが高速に動作するためには高速化のためのブースター分子が必要と考えられてきた。我々は今までにポリリシンにデキストランをグラフトさせたカチオン性グラフト高分子がDNA鎖交換反応を超高速化させることを報告してきた。よって、このカチオン性グラフト高分子がDNA論理ゲート計算のブースター分子となりうると考え、平成27年度は、DNA鎖交換反応に基づくDNA閾値ゲートの高速化を目指した。Winfreeらが報告したシーソーゲート機構を利用したDNA論理ゲートの一種であるDNA閾値ゲートは非常に優れているものの計算に数時間必要であった。この原因は前述のように、鎖交換反応の遅さであると考えた。カチオン性グラフト高分子は既報に従い、ポリリシンにデキストランの還元末端と還元剤存在下で反応を行うことで得た。DNA閾値ゲートにカチオン性高分子を適応させた結果、僅か数分で計算が完了することが示された。一部反応の漏れが観察されたが、DNA配列の最適化を行ったところ、漏れが抑えられ、さらに計算時間も数分で完了することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DNA閾値ゲートの高速化を達成し、申請書のとおりのペースで進行しており、おおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、この分子ブースターシステムを一つのコンパートメント内に閉じ込め、ある種の物理化学的刺激によって、計算が開始するシステムの構築を行う。
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