2015 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子を利用した光駆動性分子ロボットハンドの開発
Publicly Offered Research
Project Area | Development of Molecular Robots equipped with sensors and intelligence |
Project/Area Number |
15H00818
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水上 進 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (30420433)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フォトクロミズム / トリプトファンジッパー / アプタマー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、フォトクロミック化合物をペプチド鎖中に組み込むことで、光照射によって特定の分子を選択的に捕捉し、熱あるいは別の波長の光によって放出する可逆的な光スイッチングシステムの作製を目指して研究を開始した。ペプチドの基本構造としては12残基からなるβヘアピンペプチドであるトリプトファンジッパーを利用し、フォトクロミック化合物であるアゾベンゼンを主鎖内に有するペプチドアプタマーの開発を目指した。まず、アゾベンゼンの3,3'位からメチレン基を介してアミノ基、カルボキシ基が繋がったアゾベンゼン含有アミノ酸を合成し、このアミノ酸をFmoc固相合成によりトリプトファンジッパー中のヒンジ領域の2アミノ酸残基と置換した化合物AzoTrpZipを作成した。続いて、この光応答性トリプトファンジッパーの光応答性を調べた。その結果、3,3’位以外には置換基が無いアゾベンゼンを用いた場合においては、UV光照射によって熱平衡状態からジッパー構造形成と考えられるCDスペクトル変化が見られたものの、可視光照射によって元の構造に戻る変化は見られなかった。すなわち、異なる二波長の光照射によってペプチド構造を可逆的に変化させることはできなかった。そこで、アゾベンゼンの芳香環上に様々な置換基を導入したペプチドを合成し、光異性化実験を行った。その結果、幾つかのペプチドにおいて、異なる二波長の光によって可逆的にジッパー構造の形成・崩壊を制御できることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、複数のアゾベンゼン誘導体を組み込んだトリプトファンジッパー類縁体を合成し、異なる二波長の光でそのジッパー構造の形成・崩壊を制御できることを示した。この結果は、光によってペプチドアプタマーが化合物認識能を可逆的に変化させるための第一段階ということができる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に見出した光応答性トリプトファンジッパーを、トリプトファンジッパーを構造中に有するペプチドアプタマー(aptide)と組み合わせることにより、光照射によって可逆的に分子認識能を変えるペプチドアプタマーの開発へと展開させる。
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Research Products
(6 results)