2015 Fiscal Year Annual Research Report
分散システム論に基づく化学反応系の設計方法の確立
Publicly Offered Research
Project Area | Development of Molecular Robots equipped with sensors and intelligence |
Project/Area Number |
15H00821
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山内 由紀子 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 助教 (10546518)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 分散システム / 自律移動ロボット群 / 対称性 / モジュールロボット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,分子ロボットを構成する化学反応系をプログラマブルな粒子群から成る分散システムと見なし,ミクロな立場から化学反応系の設計,解析のための理論を構築することを目指す.本年度は匿名性,無記憶性といった化学反応系の特徴を持つ自律移動ロボット群モデルについて,3次元空間中でのロボット群の自己組織化について学術的に非常に重要な結果を得た.群システムの自己組織化能力は群の持つ対称性で決定される.本年度の成果では,ロボット群を同一平面に並べる平面形成問題,指定したパターンに並べるパターン形成問題の特徴づけをロボット群の持つ対称性から示した.これらの結果から得られた知見は,3次元空間中を移動するロボット群の対称性を群論的な立場,すなわち回転群からとらえることができ,更に,ロボット群が本質的に持つ対称性とロボットの配置の対称性は必ずしも一致しないということである.これらの結果は数学的にも重要であり,国際会議DISC 2015に採択され,LA/EATCS-Japan 国際賞を受賞するなど,国際的にも高く評価されている. さらに,多数のモジュールから成るモジュールロボットでの空間の探索問題についても結果を得ている.各モジュールは匿名,無記憶であり,モジュール間の相互作用は局所的である.モジュールロボットはモジュールの配置である種の状態(=メモリ)を表すと考えられ,本研究では少数のモジュールから成るモジュールロボットで任意の2次元格子領域を探索可能であることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,3次元空間中を移動する自律移動ロボット群の分散制御,モジュールロボットの探索問題について重要な結果を得られたため,おおむね順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の研究課題を継続するとともに,当初の計画通り,ランダムな環境,相互作用,制御の下での分散システム振る舞いについての研究を進める.特に,非同期的,局所的に相互作用を行う自律移動ロボット群の分散協調において,ランダム性が果たす役割を解明する.さらに,これまでの結果の化学反応系への応用を検討し,最終年度としての仕上げを行う.
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Research Products
(6 results)