2015 Fiscal Year Annual Research Report
超高時間分解能・大統計X線ミッションNICERとの国際連携による中性子星観測
Publicly Offered Research
Project Area | Nuclear matter in neutron stars investigated by experiments and astronomical observations |
Project/Area Number |
15H00845
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
榎戸 輝揚 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (20748123)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 中性子星 / NICER / 高密度状態方程式 / X線観測 / 国際宇宙ステーション / X線集光系 / マグネター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、Neutron star Interior Composition ExploreR (NICER) プロジェクトに参画し、中性子星の質量と半径を観測的に精度よく測定するとともに、多様な中性子星サイエンスを展開することである。NICER は、米国 NASA 主導のミッションで、X線集光系とシリコンドリフト検出器の組み合わせによる観測モジュールを56個並べ、中性子星の表面放射が卓越する ~1.5 keV 付近で、XMM-Newton の2倍近い大統計の観測を実現する。2016年度中には国際宇宙ステーションに搭載され、観測を開始する予定である。2015年度は、5月および8月にNASAゴダード宇宙飛行センターを訪問し(うち8月は長期滞在)、X線集光系部のフライト品でのアライメント測定の解析を行い、観測に必要な基準を満たしていることを確認した。また、NICER サイエンスチームのマグネター分科会のリーダーを担当し、初期観測で狙うサイエンス検討を行った。本分科会での議論をもとに、静穏期のマグネターが強磁場の電波パルサーと同一の種族であるかを調べる方法などを検討した。また、かにパルサー(Crab pulsar)の巨大電波パルス(Giant Radio Pulse)の電波との同時観測によるX線帯域での制限や、全天で最も明るいX線源 Sco X-1の観測可能性などを議論した。12月にはゴダード宇宙飛行センターでのサイエンスミーティングに参加した。これらは White Paper (ホワイトペーパー)という文書にまとめられる予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
NICER 打ち上げ予定日はプロジェクト進捗とは別の理由で後ろにずれたものの、NICER フライト品の製作開発はほぼ予定通り進んでいる。さらに、当初はX線集光部の担当が主であったが、サイエンスの分科会の一つを任され、マグネターやその他の中性子星に関する議論をリードできる形になったため、多様な観測テーマを初期観測で実施できる準備を進められるようになった。
|
Strategy for Future Research Activity |
2015年度の成果を受け、2016年度には以下の方針で研究を進める。 (1) NICER フライト品のX線集光系アライメント検査の定量評価を取りまとめる。 (2) 初期観測のサイエンス検討を行い、NICER チーム内で White Paper (ホワイトペーパー)を作成、公表する。 (3) 年度の後半に NICER が打ち上がり国際宇宙ステーションに搭載されたら、渡米して初期較正に貢献するととものに、(2) を含めたサイエンスを実施する。
|