2015 Fiscal Year Annual Research Report
解空間のパラメータ化解析による計算困難性と容易性の解明
Publicly Offered Research
Project Area | A multifaceted approach toward understanding the limitations of computation |
Project/Area Number |
15H00849
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 健洋 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (40431548)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アルゴリズム / グラフ / 遷移問題 / 解空間の連結性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,独立点集合,支配点集合,点被覆に対する遷移問題について,その計算困難性と容易性を解析することができた.特に,グラフ構造を利用することで,多くの多項式時間アルゴリズムを与えることができた.これにより,独立点集合と支配点集合の遷移問題に対しては,解空間グラフの直径がそれぞれ多項式長で抑えられることが示された.これは,予想とは異なる結果であったが,直径が多項式長で抑えられることが証明されている遷移問題はまだ少なく,本研究の目的である解空間グラフの特徴づけに対し新たな知見を得ることができた.
独立点集合の遷移問題では,木に対して線形時間アルゴリズムを与えた.独立点集合の遷移問題では,3つの隣接関係が従来から研究されてきたが,本研究ではトークンスライディングと呼ばれるモデルを扱っている.木においては,このモデルに対してのみ計算複雑さが未解決であったが,本研究ではそれを解決した.アルゴリズム開発のアイディアは,移動不可能であるトークンの特徴づけを与えたことであり,この特徴づけは解空間グラフの構造理解にも役立つ.
支配点集合の遷移問題では,木,区間グラフ,コグラフといった様々なグラフに対して,線形時間アルゴリズムを与えた.特筆すべきは,これらのグラフに対して個々にアルゴリズムを開発したのではなく,支配点集合の遷移問題に対する統一的なアルゴリズム開発手法を与えたことである.前述のグラフに対しては,その統一的な手法を適用することで,アルゴリズムを与えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
独立点集合や支配点集合の遷移問題に対して,解空間グラフの直径が多項式長で抑えられたことは,予想とは異なる結果であった.しかし,このような遷移問題の例はまだ少なく,解空間グラフの特徴づけを進める良い知見を得ることができている.
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Strategy for Future Research Activity |
シュタイナー木の遷移問題について研究を進め,その解空間グラフの特徴づけを行う.また,解空間グラフの直径を保持した帰着手法の構築を行う.支配点集合の遷移問題に対しては,アルゴリズムの統一的な開発手法を与えることができたが,遷移問題の帰着においても,統一的な手法を与えられないか考察を行いたい.
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[Journal Article] Linear-Time Algorithm for Sliding Tokens on Trees2015
Author(s)
Erik D. Demaine, Martin L. Demaine, Eli Fox-Epstein, Duc A. Hoang, Takehiro Ito, Hirotaka Ono, Yota Otachi, Ryuhei Uehara, Takeshi Yamada
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Journal Title
Theoretical Computer Science
Volume: 600
Pages: 132-142
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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