2015 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ素-16族元素二重結合をもつ化学種が配位した感応性錯体の合成と反応性
Publicly Offered Research
Project Area | Stimuli-responsive Chemical Species for the Creation of Functional Molecules |
Project/Area Number |
15H00916
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
上野 圭司 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (20203458)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | シラノン / 錯体 / 反応性 / シランチオン / 反応機構 / タングステン / モリブデン |
Outline of Annual Research Achievements |
すでに,ベンゼン溶液中におけるシリル(シラノン)錯体Cp*(CO)2M(O=Si(DMAP)Mes2)(SiMe3) (1:M = W, Cp* = η-C5Me5, DMAP = 4-(ジメチルアミノ)ピリジン,Mes = メシチル基; 2: M = Mo)とクロロシラン,メタノール,および水との反応性が明らかになっている。今年度の研究では溶媒効果を明らかにするため,アセトニトリル中での反応を行った。 クロロシランEtMe2SiClとの反応ではシロキシクロロシランEtMe2SiOSiMes2Clが生成した。ベンゼン溶液中では反応完結に錯体1は9日間,錯体2は30時間を要したが,アセトニトリル中では加速され,反応時間はそれぞれ2日間,8時間であった。また,錯体1ではシロキシクロロシランの収率が8%から40%に大きく改善した。メタノールとの反応では,反応速度および生成物の収率はベンゼン中とほぼ変わらなかった。水との反応は速く,ベンゼン中およびアセトニトリル中ともに約5分で終了した。しかし,生成物分布には大きな差が見られた。すなわち,錯体1と水とのベンゼン中での反応ではジシロキサノールMe3SiOSiMe2OHのみが生成したが,アセトニトリル中ではシランジオールMes2Si(OH)2が主生成物であった。一方,錯体2のベンゼン中での反応では主生成物としてシランジオールが生成したが,アセトニトリル中ではシランジオールとジシロキサノールが生成した。 シラノン錯体と水との反応は中心金属および溶媒によって大きく影響されることが明らかになった。現在,その原因を探るべく,領域内共同研究により理論的研究を進めている。 シランチオン錯体の合成を目指して,いくつかの硫黄供与剤とシリレン錯体の反応を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H27年度の研究計画に従って,シラノンおよびシランチオン錯体の合成,反応性およびその反応機構の検討を行い,研究は順調に進行した。シラノン錯体の反応性の研究では,予期していなかった反応性に対する大きな溶媒効果が明らかになったため,領域内共同研究によりその理由を探っている。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度は前年度の研究を継続するとともに,新規シラノン,シランチオン,シランセロン錯体の合成,反応性の検討を進める。
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