2015 Fiscal Year Annual Research Report
典型元素の協同作用を活用した感応性化学種の創製
Publicly Offered Research
Project Area | Stimuli-responsive Chemical Species for the Creation of Functional Molecules |
Project/Area Number |
15H00920
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
狩野 直和 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00302810)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リン / ホウ素 / ケイ素 / 結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、複数の典型元素の性質を活用した新規な結合様式を有する化合物の合成と、その構造および性質の解明を目的とする。本年度は5配位リン-3配位ホウ素結合化合物の合成と、5配位ケイ素-4配位ホウ素化合物の合成について検討した。5配位リン-3配位ホウ素化合物の合成に向けてホウ素上に脱離基を有する化合物を合成し、ホウ素から置換基を引き抜くことで目的化合物の合成を試みた。脱離基としてエトキシ基を用いた場合には、強いルイス酸を作用させてもホウ素のルイス酸性が勝ってしまい、脱離反応が進行しなかった。脱離基としてヒドリドを用いてトリチルカチオンを作用させたところ、ヒドリド引き抜き反応が進行した。期待される5配位リン-3配位ホウ素結合化合物の発生は、ピリジンによる捕捉反応によって確認できた。また、11B, 31P NMRで溶液中での生成を示唆する結果を得た。次に、5配位ケイ素-4配位ホウ素化合物の合成のために、前駆体となる4配位ケイ素ジアニオン種の発生を試みた。4配位ケイ素化合物に対して、低温条件でリチウムナフタレニドを作用させることで、還元反応が進行してジアニオニオンを発生させた。その生成はプロトンでクエンチすることによるヒドロシリカートの生成により確認できた。生成したジアニオン種は温度の上昇に伴って徐々に分解し、熱的に不安定であることがわかった。今後、このジアニオン種と各種ホウ素試剤との反応を行うことで、5配位ケイ素-4配位ホウ素化合物の生成が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、5配位ケイ素-4配位ホウ素結合をもつ化合物の合成を完了しているはずだったが、前駆体の不安定性ゆえに前駆体の合成にとどまっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに発生方法を確立した4配位ケイ素ジアニオン種を利用して、ホウ素試薬との反応を検討し、5配位ケイ素-4配位ホウ素化合物を合成する。
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