2015 Fiscal Year Annual Research Report
電場感応性π共役液晶材料の構築
Publicly Offered Research
Project Area | Stimuli-responsive Chemical Species for the Creation of Functional Molecules |
Project/Area Number |
15H00921
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉尾 正史 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60345098)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 電場配向 / カラムナー液晶 / 分子集合ファイバー / 強誘電 / 自己組織化 / 双極子モーメント / 発光 / メカノクロミック |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、電荷輸送・発光機能を有する電場感応性π共役液晶材料を創製することである。
ピレンの1,3,6,8位に長鎖アルコキシフェニルビチオフェンを導入したX字型π共役分子を設計合成した。室温を含む幅広い温度範囲でディスコチックカラムナー液晶相を発現した。Time-of-Flight法により電荷移動度の測定を行った結果、ヘキサゴナルカラムナー相において約10-4 cm2 V-1 s-1のホール移動度を示すことが分かった。さらに、室温でカラムナー液晶試料に機械的なせん断応力を加えたところ、発光色が変化するメカノクロミック発光機能を示すことが分かった。示差走査熱量測定、X線回折測定、紫外可視吸収スペクトル測定、蛍光測定の結果、分子間のらせん状集積構造が機械的刺激によって変化することが明らかとなり、これにより発光色および発光強度の変化が生じることが分かった。また、電荷移動度の向上を目指して、分子間水素結合により自己組織化ファイバーを形成することが知られているビス(ラウリロイル)ヒドラジドとπ共役液晶分子との複合化を行った。その結果、ファイバーとの複合体においてホール移動度が2倍向上することが分かった。
電場配向性カラムナー液晶の創製を目指して、トリス(トリアルコキシフェニルエチニル)ホスフィンオキシドを設計合成した。室温を含む幅広い温度範囲でヘキサゴナルカラムナー液晶相を発現することが分かった。さらに、液晶をITO電極基板間に封入し、直流電場を印加するとカラムの軸が垂直配向することが明らかとなった。ホスフィンオキシドの双極子モーメントが電場応答したためと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電荷輸送性、機械刺激応答発光機能を有する新規のX字型π共役カラムナー液晶を構築することに成功したため。また、ホスフィンオキシド部位の双極子モーメントを活用する新規電場配向性液晶の創製に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
ホスフィンオキシド部位は金属イオン配位能を有する。発光性π共役ホスフィンオキシドとアルカリ金属塩との複合体を作製し、液晶構造変化、発光色変化、機械刺激応答性、電場応答機能について評価する予定である。また、電界発光素子やトランジスタなどのエレクトロニクスデバイスの構築を行う。
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Research Products
(5 results)