2015 Fiscal Year Annual Research Report
有機リン化合物のしなやかな反転特性を活かしたπ造形
Publicly Offered Research
Project Area | pi-System Figuration: Control of Electron and Structural Dynamism for Innovative Functions |
Project/Area Number |
15H00997
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
武田 洋平 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60608785)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リン / 機能材料 / π共役 / 光・電子物性 / ピラミッド反転 / 狭バンドギャップポリマー / 近赤外発光 / ビルディングブロック |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,代表者の専門分野である有機合成化学を駆使して芳香族縮環ジケトホスファニル化合物の合成・分子構造解明・基礎物性(電子受容性,発光挙動)研究を実施したうえで,“しなやかな”ジケトホスファニル化合物のピラミッド反転を合理的に分子設計に還元したelastic-π機能分子の創製を目指している. 今年度は,チオフェンユニットを有する新ジケトホスファニル化合物の合成手法の確立に成功し,これをビルディングブロックとして活用して,種々のドナー・アクセプター・ドナー型の新規蛍光性リン含有化合物群の創成,構造解析,ならびに基礎物性(intrinsic-π機能)解明に成功した.窒素類縁体との比較からは,これら新規リン含有π共役分子が対応する窒素化合物よりも電子受容性に優れていることや,吸収・発光スペクトルが顕著に長波長シフトすることを明らかにした.また,開発したチオフェン縮環ジケトホスファニル化合物をモノマーとして用いることで,新規な狭バンドギャップ共役ポリマーの創成にも成功した.当該ポリマーは,赤~近赤外領域の光を吸収・発光することもわかった.対応する窒素類縁体との比較からは,低分子の場合と同様に,バンドギャップが顕著に低下することも明らかにした.さらに特筆すべきは,当該ポリマーは金錯体を外部添加することで,そのバンドギャップを調整できる点である(dynamic-π機能).開発した化合物を用いたり,代表者の合成技術の提供による領域内での共同研究もいくつか発足し,進行中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要にも記載の通り,ジケトホスファニル骨格を有する新規なビルディングブロックの開発,それらを用いた多様な機能性ジケトホスファニル化合物群および狭バンドギャップポリマーの創成に成功し,これらのintrinsic-,dynamic-π機能を明らかにした.ピラミッド反転の調査については,当初の予定よりも少し遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
実績の概要,進捗状況にも記載の通り,研究は概ね計画通り進んでいる.今後は,ジケトホスファニル化合物のピラミッド反転挙動を調査しながら,予定通り圧力・応力などの機械的刺激による物性変化(elastic-π機能)の解析や単分子接合デバイスの作製などを領域内の研究班と協働的に進めていく.
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Research Products
(13 results)