2015 Fiscal Year Annual Research Report
磁性体におけるスピン軌道トルクの研究
Publicly Offered Research
Project Area | nano spin conversion science |
Project/Area Number |
15H01017
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三輪 真嗣 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (20609698)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | スピンエレクトロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにCoFeB/MgO、Fe/MgO、IrMn/MgO等の各トンネル接合においてトンネル異方性磁気抵抗(トンネルAMR)が発現することを見出した。またCoFeB/MgO/Taトンネル接合においてCoFeB/MgOのトンネルAMRを用いたスピントルクダイオード効果の測定にも成功した。(2015年Applied Physics Leters誌に発表) これにより界面スピン軌道トルクを評価できる実験環境が整った。またMgOに埋め込まれたFeナノ粒子においてもトンネルAMRが発現することを見出した。(2016年Journal of Electronic Materials誌に発表) スパッタ法によるCoFeB/MgO/Ta接合よりも、分子線エピタキシー法を用いたFe/MgOエピタキシャル接合の方が耐電圧や電流安定性において優れていることがわかったため、年度の後半ではFe/MgO接合に注力した。Fe/MgO接合においてV/Fe/MgO/Vエピタキシャル成長、トンネルAMRの発現、そしてCoFeB/MgOよりも大きな信号雑音比でのトンネルAMRによるスピントルクダイオード効果を実現した。 Fe/MgO接合におけるスピントルクダイオード効果からFe/MgO接合では4,000,000,000 (1/Vs)もの巨大な界面スピン軌道トルクが存在することを見出した。このトルクの大きさは規格化面積抵抗3 Ωμm2のトンネル接合におけるスピントランスファートルク同等であり非常に大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでにCoFeB/MgO、Fe/MgO、IrMn/MgO等の各トンネル接合においてトンネル異方性磁気抵抗(トンネルAMR)が発現することを見出した。またCoFeB/MgO/Taトンネル接合においてCoFeB/MgOのトンネルAMRを用いたスピントルクダイオード効果の測定にも成功した。これにより界面スピン軌道トルクを評価できる実験環境が整った。 またFe/MgO接合においてV/Fe/MgO/Vエピタキシャル成長、トンネルAMRの発現、そしてCoFeB/MgOよりも大きな信号雑音比でのトンネルAMRによるスピントルクダイオード効果を実現した。Fe/MgO接合におけるスピントルクダイオード効果からFe/MgO接合では4×10^9 (1/Vs)もの巨大な界面スピン軌道トルクが存在することを見出した。トルクの大きさは規格化面積抵抗3Ωμm2のトンネル接合におけるスピントランスファートルク同等である。 このように研究は非常に順調に進んでいる。今年度は巨大なスピン軌道トルクの起源解明と更なるトルクの増大を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に発見したV/Fe/MgO/Vトンネルにおける巨大な界面スピン軌道トルクの発現条件最適化と機構解明を目指す。具体的には下記の3つを行う。 (1)トンネル接合の規格化面積抵抗の大きさを変えてスピン軌道トルクを評価する。これによりトルクの電流誘起成分と電圧誘起機成分を分離する。 (2)トンネル異方性磁気抵抗効果(TAMR)と界面スピン軌道トルクの大きさを比較する。特にそれぞれのバイアス電圧依存特性を評価する。これにより界面電子状態と界面スピン軌道トルクの相関を議論する。 (3)Fe/MgO接合の間に異種原子を1原子層挿入し、トンネルAMR効果と界面スピン起動トルクの相関を評価する。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] Detection of ferromagnetic resonance in CoFeB2015
Author(s)
S. Hatanaka, S. Miwa, K. Matsuda, K. Nawaoka, K. Tanaka, H. Morishita, N. Mizuochi, T. Shinjo, Y. Suzuki
Organizer
New Perspectives in Spintronic and Mesoscopic Physics
Place of Presentation
Univ.of Tokyo(東京都・文京区)
Year and Date
2015-06-11 – 2015-06-11
Int'l Joint Research