2015 Fiscal Year Annual Research Report
光制御型高スピン多核錯体の開発
Publicly Offered Research
Project Area | nano spin conversion science |
Project/Area Number |
15H01018
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐藤 治 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (80270693)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | スピン |
Outline of Annual Research Achievements |
超高密度光磁気材料や光スイッチイング材料への応用を目指して、外場応答性高スピン多核錯体の開発に関する実験を行った。特に、鉄シアノ錯体と鉄を混合することにより、鉄間の電子移動や鉄のスピン転移により光応答性を示す新物質の開発を目指した。その結果、二重ジグザグ鎖構造を有する一次元物質を得ることができた。結晶構造解析の結果、二重ジグザグ鎖の中で鉄(III)と鉄(II)がシアノ基を介して交互に配列していることが示唆された。一次元物質の磁気特性を測定したところ10 KにおいてchiT値は1.1 cm3 mol-1 Kであった。このことは、一次元物質がFeⅢ (低スピン:スピン量子数 S = 1/2)とFeⅡ (低スピン:スピン量子数 S = 0 )から構成され、その比が2:1であることに一致している。また、10 Kから温度を上げていくと、100 K付近からchiT値は急激に増加した。さらに温度を上げていくと、chiT値の増加は見られなくなり5 cm3 mol-1 Kで一定となった。次に250 Kから冷却操作を行いながら磁化率の測定を行ったところ、5 K幅のヒステリシスが観測された。これらの結果は、FeⅡ(低スピン)がFeⅡ(高スピン)に変化したことを示唆している。スピン転移が起きたことは結晶構造からも支持された。すなわち、有機配位子と結合しているFeイオンのFe-N結合長が約1.99A(100K)から300 Kで2.20A(300K)に伸長した。また、電子移動を示す一次元錯体を得ることにも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二重ジグザグ鎖構造を有しスピン転移と電子移動を示す一次元物質を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
光応答性高スピン多核錯体及び光応答性一次元物質の開発を行う。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Charge-Transfer Phase Transition of a Cayanide-Bridged FeII/FeIII Coordination Polymer2016
Author(s)
Kuirun Zhang, Soonchu Kang, Zi-Shuo Yao, Kazusa Nakamura, Takashi Yamamoto, Yasuaki Einaga, Nobuaki Azuma, Yuji Miyazaki, Motohiro Nakano, Shinji Kanegawa, Osamu Sato
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Journal Title
Angew. Chem. Int. Ed.
Volume: 55
Pages: 6047-6050
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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