2015 Fiscal Year Annual Research Report
ニュートリノ観測に拠る超新星内の流体不安定性の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Revealing the history of the universe with underground particle and nuclear research |
Project/Area Number |
15H01039
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
滝脇 知也 国立研究開発法人理化学研究所, 長瀧天体ビッグバン研究室, 客員研究員 (50507837)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ニュートリノ / 流体不安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,超新星爆発から生じるニュートリノ放射を観測してやることで,大質量星の重力崩壊のダイナミクスを探ることである. 本年度の一つ目の成果は,超新星爆発から生じるニュートリノ,重力波,光の情報を一つのモデルから決め,それらの3つの信号を整合的にとりあつかったモデルの下で,それらの信号を同時観測することで生まれるシナジーを研究したことである.本結果は既に論文にまとめられ,査読中である. 二つ目の成果は,星の中心コアが高速自転している場合について,そこから生じるニュートリノの信号を観測することで自転周期を決定できることを明らかにしたことである.本結果はそもそもこれまで考え落とされていた機構で爆発するため,そもそも流体の運動が面白い.流体の結果のみを論文にまとめ,投稿した.現在査読中である.受理され次第,ニュートリノ信号に関する論文の執筆に移りたい.この成果は,次世代のニュートリノ観測機器である,ハイパーカミオカンデの白書においても使用されている. ニュートリノの信号を正確に見積もるためには,シミュレーションの高精度化も欠かすことができない.本年度はこれまで使っていたIDSAという手法をアップデートし,さらにより仮定の少ないM1クロージャースキームの開発にも成功した.これまでの計算も,第一原理計算とおよそコンシステントだったが,新スキームでは第一原理計算をほぼ再現するところまで来ている.これらのスキームを用いることで,今後はニュートリノ信号をより正確に予想できるだろう. 本年度は梶田教授がニュートリノ振動でノーベル賞を受賞した.そのせいか,一般向けの講演でもニュートリノの性質について尋ねられることが多かった.今回の計算結果を元に,もし我々の銀河内で超新星爆発が起これば,不思議なニュートリノの性質がより一層分かることを説明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文投稿まで順調に進んだので.
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Strategy for Future Research Activity |
研究結果は出ているので,論文にまとめる作業を精力的に行いたい.
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Research Products
(4 results)