2015 Fiscal Year Annual Research Report
金属ドープタンタル酸塩光触媒の活性サイト科学:3D解析を可能にする試料調製
Publicly Offered Research
Project Area | 3D Active-Site Science |
Project/Area Number |
15H01046
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大西 洋 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20213803)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 光触媒 / 電子励起状態 / ドーピング / 結晶構造 / ペロブスカイト構造 / エピタキシャル薄膜 / 放射光実験 / 金属酸化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
金属元素(Ca, Sr, Ba, Laなど)を適切にドーピングしたタンタル酸塩ペロブスカイト(NaTaO3, KTaO3など)は世界最高活性の水分解光触媒となる。研究代表者らは(1)ドーピングによる電子-正孔再結合の抑制が活性向上の主要因であること(2)ペロブスカイト格子のB-site置換が再結合抑制の鍵となることをみいだしてきた。 本研究では再結合抑制メカニズム解明の基礎としてドーピング元素の3D構造を解析する。平成27年度は(1)蛍光X線ホログラム解析の対象となる金属ドーピングNaTaO3単結晶膜を合成するとともに(2)NaTaO3光触媒微粒子をエッチングしてドーピング元素濃度の断面分布と再結合抑制の関係を解析した。 研究項目(1)SrTiO3(格子定数0.391 nm)単結晶をテンプレートとしてKTaO3(同0.399 nm)エピタキシャル膜を水熱合成した既報にならって、SrTiO3およびLaAlO3(同0.379 nm)の(100)単結晶基板上にKTaO3膜とNaTaO3(同0.393 nm)膜を合成した。格子整合性の高いSrTiO3を基板としたとき正しい組成(NaまたはK:Taがおよそ1:1)の膜が得られた。ホログラム測定に際してSrTiO3基板からの蛍光X線が妨害とならぬように、ドーピング元素をBaに絞って合成条件を検討した。 研究項目(2)固相合成法によってSr(5 mol%)をドーピングしたNaTaO3光触媒微粒子をHF水溶液でエッチングした。蛍光X線とX線光電子分光で測定したSr濃度がエッチング時間に対して不連続に減少したことから、Sr濃度と結晶構造が異なるシェル(厚さ数 nm)がコアを覆う断面構造を結論した。赤外吸収分光で定量した光励起電子量はSrドーピングによって130倍に増え、エッチングによってシェルを除去するとさらに40%増大した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画にしたがって、蛍光X線ホログラムの測定対象となりうる金属ドーピングNaTaO3単結晶膜の合成を達成した。光励起した薄膜の赤外反射吸収スペクトルを計測して励起電子のポーラロン性を評価する共同研究をChristof Wöll(カールスルーエ工科大学)とスタートさせた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度には、水熱合成膜の結晶性を薄膜X線回折で確認するとともに、大西による原子間力顕微鏡(AFM)観察と橘田による透過電子顕微鏡(TEM)観察を進め、計画研究05と連帯して蛍光X線ホログラムを計測してBa近傍の3D構造を解析する。
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Research Products
(26 results)