2015 Fiscal Year Annual Research Report
冥王代プレ生命システムの実験室内再現
Publicly Offered Research
Project Area | Hadean Bioscience |
Project/Area Number |
15H01057
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上田 卓也 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (80184927)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膜タンパク質 / 原始タンパク質 / リボソームディスプレー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の基盤は、海の出現の前の原始地球上で生命の基本となる高分子(タンパク質、核酸、脂質)は、すでに準備されていたとする仮説である。これらの高分子は、地球の冷却により出現した海の中で水に溶解すると同時に、再編成が生じハイパーサイクル的ネットワーク形成が生まれたと考えられる。こうした生命につながるプロセスと、実験室内で再現することを目指す。例えば、脂質による疑似細胞様の構造を持つリポソームを融合、分裂を惹起するタンパク質をリポソームディスプレイ法によりde novo で合成することを目指す。平成27年度は具体的に以下の研究を行った。 Nanodiscを用いるRibosome Displayの確立 人工の脂質膜であるNanodisc(ND)を用いたRibosome Displayの確立に取り組んだ。脂質膜に対して大きな親和性をもつことが知られる膜タンパク質bacteriorhodopsin(bR)をモデル分子として、三者複合体とNDとの複合体を回収することを試みた。結果、発現したbRの全量に対して34%の複合体を回収することができた。さらに、得られたmRNAを逆転写、PCRした産物に遺伝子変異が入らない条件を確立した。 10アミノ酸ペプチドの選抜 ランダムな10アミノ酸のペプチドをコードするDNAライブラリーを構築した後、PURE systemで翻訳し、NDとの親和性を有する翻訳複合体の選抜を行った。複合体のmRNAの配列解析の結果、選抜のサイクルを経るごとにイソロイシンとアルギニンの比率が単調に増加し、システインが単調に減少した。しかしながら、配列解析したサンプル数は数十であり、選抜が有効であったかどうかについて結論がだせない。非特異的吸着物の洗浄条件の最適化など、さらなる条件検討が必要であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノディスクに吸着されるペプチドの選抜に成功しており、実験系の基盤は形成されたと考えられる。平成28年度はこの選抜を多数のライブラリーで行うことで原始タンパク質の配列にたどり着けるものと期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は以下の二点にフォーカスして研究を進める。 二つのモデルタンパク質による実験系のデモンストレーション 脂質との親和性によって選抜がなされることを示すために、bRと疎水性の低いタンパクを系中に共存させ、サイクル数の増加に伴うbRの濃縮を示す。 選抜されたペプチドー脂質間の相互作用の検出 選抜されたペプチドが実際に脂質膜に挿入または付着することを示すために、C末端側にGFPなどの蛍光分子を連結させたタンパク質をリポソーム中で発現させ、膜局在性を確認する。
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Research Products
(8 results)