2015 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光性フォトクロミックナノ粒子における非線形蛍光スイッチング現象の理解と応用
Publicly Offered Research
Project Area | Application of Cooperative-Excitation into Innovative Molecular Systems with High-Order Photo-functions |
Project/Area Number |
15H01076
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
深港 豪 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (80380583)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フォトクロミズム / 蛍光スイッチング / ナノ粒子 / 非線形応答 / エネルギー移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
代表者のグループでは最近、会合状態においても高い蛍光特性を示すベンゾチアジアゾール(BTD)色素とジアリールエテンを連結した蛍光性ジアリールエテンが、ナノ粒子の状態において顕著な非線形蛍光スイッチング挙動を示すことを見出している(Angew. Chem. Int. Ed., 2016, 55, 3662-3666; "Hot paper"および"inside back cover"に選出)。 平成27年度の研究では、非線形蛍光スイッチング機構の詳細な理解を得るために、ナノ粒子中における分子配列を評価し、蛍光消光効率に対する理論的な解析を試みた。その結果、XRD測定からナノ粒子中において分子はランダムな配置をとっているアモルファス状態であることが明らかとなり、理論解析の結果から分子間の長距離エネルギー移動の機構で観測された非線形蛍光スイッチング挙動を十分説明できることが明らかとなった。 さらに、非線形蛍光スイッチング挙動を示す蛍光性フォトクロミックナノ粒子の有用性を拡張するために、蛍光色の異なる種々の蛍光色素と着色体の色(吸収波長)の異なるいくつかのスイッチングユニットを連結させ、それらが系中に同時に存在する中で、目的とする蛍光色へと光選択的にスイッチングできる多色蛍光スイッチングの実現に取り組んだ。これまでに赤色の蛍光を示す色素に青く着色するジアリールエテンを連結させた分子と、緑色の蛍光を示す色素に赤く着色するジアリールエテンを連結させた分子を合成し、それらの分子がナノ粒子の状態で高い蛍光特性と顕著な非線形蛍光スイッチング挙動を示すことを確認した。さらに、それらを混合した系において、照射する光の波長条件により選択的に蛍光色をスイッチングできることを明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の研究実績の欄に記載したように、これまでに非線形蛍光スイッチング挙動に対する理論的な解析を行えており、さらに多色蛍光スイッチングの実現に向けた予備的な研究結果を得ることに成功している。これらは当初予定していた研究計画に沿うものであり、研究の進捗に対して特段の遅れもないことから、概ね順調に研究が進展しているものと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は光照射の条件により、任意の蛍光色を作り出す多色蛍光スイッチングの実現に向け、光の三原色となる“R(赤)・G(緑)・B(青)”に対応する三色の蛍光性フォトクロミックナノ粒子の作成を試みる。そのために、赤・緑・青色の蛍光を発する蛍光色素とそれぞれの蛍光色を消光するのに最適な吸収を有するスイッチング分子を連結した蛍光スイッチング分子を開発する。それらの蛍光性フォトクロミックナノ粒子を混合し、光照射の条件を最適化することにより、多色蛍光スイッチングの可能性を検討する。 さらに、代表者らの蛍光性フォトクロミックナノ粒子をバイオイメージングに使用したいという要望が出てきており、そのために必要とされる蛍光スイッチングの繰り返し回数の更なる向上を達成するために、高耐久性の蛍光性フォトクロミックナノ粒子の開発にも取り組む。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Giant Amplification of Photoswitching by a Few Photons in Fluorescent Photochromic Organic Nanoparticles2016
Author(s)
J. Su, T. Fukaminato, J.-P. Placial, T. Onodera, R. Suzuki, H. Oikawa, A. Brosseau, F. Brisset, R. Pansu, K. Nakatani, R. Métivier
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Journal Title
Angewandte Chemie- International Edition
Volume: 55
Pages: 3662-3666
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] Amplified Photoswitching in Fluorescent Photochromic Molecules and Nanomaterials2015
Author(s)
K. Nakatani, R. Métivier, S. Maisonneuve, J. Xie, P. Yu, K. Ouhenia-Ouadahi, J. Su, T. Fukaminato, J.-P. Placial, A. Brosseau, J. Audibert, R. Pansu
Organizer
2015 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies
Place of Presentation
Hawaii Convention Center, Honolulu, Hawaii
Year and Date
2015-12-15 – 2015-12-20
Int'l Joint Research
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[Presentation] Development of Photochromic Molecules2015
Author(s)
T. Fukaminato, T. Hirose, K. Matsuda, M. Irie
Organizer
2015 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies
Place of Presentation
Hawaii Convention Center, Honolulu, Hawaii
Year and Date
2015-12-15 – 2015-12-20
Int'l Joint Research
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[Presentation] Amplification of Fluorescence Photoswitching in Organic and Hybrid Nanoparticles2015
Author(s)
R. Métivier, J. Su, K. Ouhenia, S. Maisonneuve, C. Pavageau, J.-P. Placial, A. Brosseau, R. Pansu, J. Xie, K. Nakatani, P. Yu, T. Fukaminato
Organizer
27th International Conference on Photochemistry 2015
Place of Presentation
ICC JEJU, Jeju Island, Korea
Year and Date
2015-06-28 – 2015-07-03
Int'l Joint Research
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