2016 Fiscal Year Annual Research Report
非平衡分子集合体の電子励起状態での光応答協同性発現機構の解明と電子準位制御
Publicly Offered Research
Project Area | Application of Cooperative-Excitation into Innovative Molecular Systems with High-Order Photo-functions |
Project/Area Number |
15H01081
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
伊藤 冬樹 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (80403921)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 非平衡分子集合体 / 有機EL |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,有機分子集合化過程において発現する非平衡分子集合体の電子励起状態での光応答の協同性発現機構の解明とそれに基づく電子準位制御を目的とする.研究代表者は,有機結晶生成過程における蛍光スペクトルの劇的な変化と蛍光寿命の1桁以上の延伸,また集合体での波長選択的な高効率電子移動消光反応を見出した.そこで,協同的光応答に対する分子環境場・分子集合形態に依存した電子励起状態変調機構を解明し,その知見に基づいて多数励起分子によって集合体系でのみ形成される協同的作用に基づく電子準位制御を目標とした. 今年度は,ジベンゾイルメタンフッ化ホウ素錯体(BF2AVB)の非平衡分子集合状態の凍結と電子準位の決定を研究計画とし,実際の有機EL(OLED)への適用を行った.BF2AVBはその集合形態によって,紫色,青色,シアン色,緑色,橙色の発光を示すことがわかっている.これらの会合体形成と会合誘起エキシプレックス形成(AIEF)による全可視光域(青~緑~赤,+白)にわたるOLEDの発光色制御を達成した.これは,色素会合体がエキシプレックスを形成すること,さらにそのエキシプレックスが熱活性遅延蛍光によって高効率かつ低ロールオフな発光を示すことに起因している.以上の知見に基づいて,単分子発光/会合発光/AIEFを制御することで青~緑~赤だけでなく白色発光OLEDも作成することが可能であることを実証した. 2年間の研究を通して,結晶生成過程の蛍光可視化および非平衡電子準位の制御を達成することができた.これらの知見は,所望の構造を有する結晶を選択的に生成できる結晶化条件の提供,結晶多形発現機構解明のための比較的容易な計測方法として利用されることが期待され,高度な集合体構造制御に重要な知見をもたらすものである.さらに,非平衡電子準位を利用したデバイス応用も実証できた.
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(21 results)