2015 Fiscal Year Annual Research Report
有機無機複合分子協調による光エネルギー変換機能の精密制御
Publicly Offered Research
Project Area | Application of Cooperative-Excitation into Innovative Molecular Systems with High-Order Photo-functions |
Project/Area Number |
15H01094
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
羽會部 卓 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (70418698)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 有機無機複合材料 / 励起ダイナミクス制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機薄膜や分子集合体内での励起子とキャリア電荷(正孔と電子)に関する生成・移動の制御は光エネルギー変換分野で非常に重要な課題である。本研究の一つとして、光エネルギー系への展開を視野に自己組織化単分子膜法(SAMs法)を用いた有機無機ハイブリッド材料の励起ダイナミクス制御に取り組んでいる。本研究で用いる色素修飾チオール単分子膜で保護された金属ナノ粒子(monolayer-protected gold clusters: MPCs)の重大な問題点として有機色素を励起した場合、迅速なエネルギー/電子移動による金属表面への著しい励起子失活(報告例の多くは90%以上の蛍光消光)が挙げられる。また、項間交差に伴う励起三重項の形成もほぼ皆無である。そこで本研究では、金表面上で高効率かつ長寿命の励起子の形成を目指して一重項分裂の利用に着目した。具体的には、異なるアルキル鎖 (n = 7, 11)と粒径 (X = S, L)を有するTIPS-ペンタセンアルカンチオール修飾金ナノ粒子(TP-Cn-X-MPC)と種々の参照化合物を合成し、時間分解分光法を用いて高効率かつ長寿命な励起子生成を確認した。TP-C11-S-MPCのフェムト秒吸収スペクトル測定をトルエン溶液中で行った。励起波長600nmで光照射後、数psから20ps程度の時間領域でTIPS-ペンタセンのT-T吸収に対応するシグナルが観測され、一重項分裂の進行が確認された。TP-C11-S-MPCの三重項量子収率は172%と決定することができ、金表面上へのエネルギー失活を抑え、ほぼ量論的に一重項分裂が進行していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究はペンタセン二量体やペンタセンアルカンチオール修飾金ナノ粒子において高効率多励起子生成に成功しており、予定通りもしくはそれ以上のペースで進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
ペンタセン二量体やペンタセンアルカンチオール修飾金ナノ粒子ともに励起三重項状態の更なる長寿命化・高効率化を達成すべく展開する。特に、ペンタセンアルカンチオール修飾金ナノ粒子では粒子サイズ等の更なる制御を行い、高効率太陽電池への展開を試みる。
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