2015 Fiscal Year Annual Research Report
肝類洞血流調節因子と肝細胞機能の多次元計算解析~病理、生理、生化、情報遺伝学~
Publicly Offered Research
Project Area | Multidisciplinary computational anatomy and its application to highly intelligent diagnosis and therapy |
Project/Area Number |
15H01111
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
工藤 篤 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (20376734)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 肝動脈虚血 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、4次元の軸にまたがる医用画像情報に基づき、「生きた人体の総合理解」のための数理的解析基盤を、実験動物を用いて確立し、肝移植グラフト不全や種々の肝障害に伴う肝不全の術前診断や早期発見、将来的には肝疾患における肝動脈生理学の解明により代謝性に発症する肝細胞癌の多中心性発癌を視野に置き、高度に知能化された診断治療法実現のための数理的諸手法を開拓することを目的としている。 肝動脈血流の一時的クランプを行って再還流した時の類洞血流における無数の多次元ベクトルを包括的かつリアルタイムにコンピュータで計算し、その変化様式を精緻に解析し、さらに肝細胞機能を多次元情報として取り込み、その変化が起きるメカニズムの包括的解析をする。各種パラメータと類洞血流との相関関係を多次元計算モデルとして機能するかを検討する。 これまで動物実験の虚血再還流障害において肝動脈血流はほとんど注目されてこなかった。本研究の予備実験で示されたようなダイナミックな変化が技術的な問題で制約を受けていたため、ラットの肝動脈が肝臓のViabilityに与える影響は極めて限定的であると信じられてきた。実際、ラット肝移植モデルでも肝動脈は再建されないのが通例である。今回、微小解剖を評価できる多元解剖学的アプローチを活用して、肝動脈血流の類洞血流に及ぼす影響を捉える試みが当研究の特色である。これにより、これまで解決困難であったischemic preconditioningや、脂肪肝グラフトの脆弱性や門脈と下大静脈のDriving Forceは何かといった課題に対して新たな知見を得られた。この多元肝類洞血流評価システムを活用し、類洞血流と細胞機能の様々なパラメータとの相関関係を見出すことで、画像情報と機能情報を有機的に結び付けられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、正常類洞の血行動態とそれを調節する因子の解明を目的として研究した。その数理学的アプローチによる調節機構、生体内異物解毒機構の包括的代謝機構を多元的に解析し、一定の結論を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
現在得ている知見をもとに肝動脈虚血再灌流障害において根本的な因子のDDSの観点から、臨床応用可能な薬剤の開発につなげていくと同時に、京都府立医大の基礎物理学研究グループと共同で類洞の多元計算解剖を行う。
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Research Products
(9 results)