2015 Fiscal Year Annual Research Report
X線動画イメージングによる胸郭運動ならびに肺機能評価の試み
Publicly Offered Research
Project Area | Multidisciplinary computational anatomy and its application to highly intelligent diagnosis and therapy |
Project/Area Number |
15H01113
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田中 利恵 金沢大学, 保健学系, 准教授 (40361985)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 画像 / X線 / 放射線 / 情報工学 / 生理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,胸部領域の筋・骨格・臓器・組織の動態機能の中でも,呼吸機能と密接な関係のある肋骨を含めた胸郭運動に注目した.その動態機能の理解と評価を可能にする画像解析法を開発するために,今年度は下記(1)~(3)の手順で行った. (1) 骨X線動画像の作成 (2) 胸郭運動の定量解析プログラムの開発 (3) 胸郭運動情報の有用性の検証 対象は,本学附属病院の呼吸器内科/外科・整形外科を受診した患者である.基礎疾患として,慢性閉塞性肺疾患(COPD),間質性肺炎,肺線維症,気管支喘息,気胸,心不全,肺癌,脊椎側弯症などを有する.本研究では,先行研究で取得した129症例の胸部X線動画像を解析対象とした.管電圧110 kV,管電流80 mA,パルス幅6.3 msec,フレームレート5 fps,撮影距離1.5 mにて,呼吸過程を5~10秒間撮影した,合計50枚のX線動画像から成る.まず,骨X線動画像を作成するために,胸部単純X線写真のために開発された肋骨陰影抑制処理(BS処理)を,呼吸過程を撮影した胸部X線動画像に応用した.安定した動画像解析を実現するために,患者体動やX線出力ゆらぎを,時系列方向の平滑化やフレーム間位置合わせより補正する機能を開発した(国際学会にてポスター賞受賞).BS処理で作成した骨X線動画像を対象とした胸郭運動の定量化を開発した.肺野内局所の移動ベクトル解析において,オリジナルの胸部X線動画像を対象としたとき比べて計測精度が改善されることを明らかにした.胸郭運動量と肺機能(肺活量)との相関を調べ,胸郭運動情報の有用性を検証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胸郭の動態機能を理解するための画像解析プログラム開発と,新規症例データの収集を並行して行うことで,研究を効率的に推進した.胸部X線動画像からの骨X線動画像の作成および胸郭運動の定量解析プログラムの開発は,これまでに構築した画像データベース収録データを対象に初年度から行った(129症例×30~50フレーム).予定していた3つの課題のうち(1)骨X線動画像の作成,(2)胸郭運動の定量解析プログラムの開発,は予定どおり行うことができた.(3)胸郭運動情報の有用性の検証については,疾患ごとに十分な数の症例が集まっていないため,初期検討段階に留まった.
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度の上記成果にもとづき,H28年度は(4)正常な胸郭運動の理解と異常な胸郭運動の特徴抽出,(5)胸郭運動評価のためのCADシステムの開発に取り組む.これらの研究開発と同時並行で新規症例を収集し,疾患ごとの症例数を増やし,(3)胸郭運動情報の有用性の検証,に改めて取り組む.
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Research Products
(6 results)