2015 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロCT画像による組織学的診断技術の確立
Publicly Offered Research
Project Area | Multidisciplinary computational anatomy and its application to highly intelligent diagnosis and therapy |
Project/Area Number |
15H01116
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 彰太 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (20612849)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 解剖学 / 呼吸器外科学 / 病理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、肺癌における組織学的診断のための「マイクロCT画像による組織学的診断技術の確立」とその臨床的評価および応用の実現である。これを遂行するために2つの研究フェーズを設定し、平成27年度は従来の方法で作成された組織標本とマイクロCTで得られる画像データとの差を比較することを主なフェーズとした。1) 肺癌に対し切除術を施行した症例の切除肺の一部を採取し、マイクロCTでの撮像に適した固定方法を検索した。その結果、ハインツマン法に準じ薬剤配合を改良した方法が最も固定に適していることを発見した。2) マイクロCTにより撮像するにあたり、試適撮像条件を検索し現行の撮像条件を編み出した。3) 撮像されたマイクロCT画像による組織学的診断を施行したところ、肺結節内部や肺胞間質内部の描出は未到達だが、肺胞間質が厚く描出され、胸膜変化や癌に特徴的な画像所見を得ることができ、従来のHRCT画像と比較して統計学的にも優位に詳細な画像を得ることができた。4) 従来の方法で作成された組織標本による組織学的診断とマイクロCT画像による組織学的診断を比較するために、共同研究者である森健策教授とともに画像診断を駆使して従来のHRCT画像・マイクロCT画像・組織標本の位置を一致させるデータベースの作成をすすめている。これにより目標の比較を次年度に比較し結果を得られると考えている。5) 従来の方法で作成された組織標本とマイクロCT画像の解剖学的位置が一致していることを確認できた。これら計画した課題をほぼすべて完遂することができ、次年度の目標であるこれまでに得られたデータと手術前に撮像された従来のCT画像を比較し、手術前画像診断に応用する作業に移ることができる。これらを計画どおり遂行することにより、多元計算解剖モデルの構築に貢献したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に示した平成27年度の計画とほぼ一致して進捗できている。肺の伸展固定方法の工夫や開発が当初予期していない作業だったが、福井大学放射線科伊藤春海教授に直接指導いただき新たな固定方法を開発できた。また、以下の如く付随研究を行っている。現状のマイクロCT画像では肺胞間質内部を描出することはできず、これを克服するために造影剤の動注を行う必要がある。手術により得られた検体にこれを行うことは物理的に不可能で、ラットの切除肺で行う必要があり施行中である。このように進捗はほぼ計画どおりで、かつ付随研究も行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の実績から得られたデータをもとに、手術前に撮像された従来のCT画像を比較し、手術前画像診断に応用する。1) 切除術により得られた伸展固定肺をマイクロCTで撮像した画像について、肺癌手術前に撮像した従来のCT画像と解剖学的位置を対応させ記録する。2) 1)で得られた解剖学的位置において、従来のCT画像やPET画像上のCT値やSUVmax値を記録する。3)得られた解剖学的位置と数値をデータベース化する。4) 手術前に撮像される従来のCT画像からこれまで以上に正確な組織学的診断を推定できるシステムを実現するという計画どおりに進める。また現状のマイクロCT画像では肺胞間質内部を描出することはできず、これを克服するために造影剤の動注を行う必要がある。手術により得られた検体にこれを行うことは物理的に不可能で、ラットの切除肺で行う必要があり施行中である。同時にラットの肺移植を行い、肺移植後の時間経過に伴いどの程度肺胞破壊が生じるかマイクロCTで数的評価を行うことを計画している。
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Research Products
(5 results)