2015 Fiscal Year Annual Research Report
剪断波伝搬モデルに基づく定量的組織粘・弾性映像法の開発と肝線維化早期診断法の研究
Publicly Offered Research
Project Area | Multidisciplinary computational anatomy and its application to highly intelligent diagnosis and therapy |
Project/Area Number |
15H01120
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
椎名 毅 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40192603)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生体医工学 / 超音波医科学 / 組織粘弾性 / 肝疾患診断 / 生体物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝線維化等の診断を目的に組織の硬さを可視化するエラストグラフィの手法として、近年実用化したshear wave elastographyは、超音波で体内に生成した剪弾波の音速から弾性率が求まり定量性が高い点が特徴となっている。しかし、実際には組織内の伝搬特性を単純化しているため、アーチファクトが生じやすい点が課題である。また、これまで組織の硬さについては弾性のみであったが、病態の進行度や鑑別診断への粘性の利用が期待できる。そこで、本年度は、以下に示す項目について研究を進めた。 【剪断波伝搬モデルに基づく定量的組織粘・弾性影像法の開発】 現在の剪断波速度の測定の多くは、伝搬方向を仮定したTOF法であるが、剪断波速度が組織間で1 -10m/sと大きく異なるため、反射や屈折の影響を強く受け定量性が損われる。そこで、剪断波の特定方向の伝搬を仮定せず, Time Reversalの処理を施して,剪断波を任意の点で仮想的に集束させ伝搬速度を推定する方法を検討した。ファントムの計測では,従来法に比較しより正確に内包物が描出され、また、周波数を10~300Hzに変化させて剪断波速度を測定した結果、明確な速度分散を示すことから、弾性とともに粘性の評価が可能なことが確認された。 【粘弾性を考慮した肝線維化モデル構築】 剪定波から測定した粘弾性をもとに、肝線維化など病態の診断を可能とするには、剪断波速度と媒質の粘弾性との関係を明らかにする必要がある。従来、一様な媒質とフォークトモデル等で近似する場合が多いが、線維化による不均質化した媒質内の伝搬では、これらの近似が成り立たない可能性がある。本年では、単純化したモデルとして、薄膜におけう剪断波伝搬をシミュレーション解析とファンムによる検討した。その結果、粘性のない媒質でも薄膜を伝搬する場合、速度分散が生じ見かけ上の粘性が現れることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝臓線維化モデルの構築について、当初の計画では、モデル化の基礎データとして、マウスを用いて粘弾性の計測を行うとしていたが、より基礎的な問題として剪断波の速度と粘弾性の関係を明確にする必要性を感じたため、不均一媒質での剪定波速度の計測の理論的及び実験的検討に着手した。その結果、媒質の構造が、剪断波速度分散に影響し見かけ上の粘性が得られることが確認された。これにより次年度は、肝線維化に近い構造のモデルで、その効果を確かめることにした。
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Strategy for Future Research Activity |
【肝線維化モデル構築】 肝線維化の進行により弾性とともに粘性の変化を組み入れた組織モデルを構築する。特に粘性ついては、組織の構成要素の違いとともに、ミクロな組織構造の違いがマクロに特[生として計測される可能性についても検討し、線維化と粘弾性の関係を解析する。 【シミュレーションによるモデルの評価】 構築したモデル用いて、剪断波による粘弾性計測のシミュレーションを行う。前年度開発した方法を用いて設計通りの粘弾性が得られるかを検討する。 【肝線維化モデルに基づく早期診断法の検討】 構築したモデルに基づく肝線維化stageを判定するためのパラメータを検討する。線維化stageの判定をシミュレートして、最適な計測条件、適用範囲と限界等について検討する。また、B、C型肝炎の他、NASH等の脂肪性の肝炎の鑑別診断や早期診断の可能性について検討する。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] WFUMB Guidelines and recommendations for clinical use of ultrasound elastography: PART 3: Liver2015
Author(s)
Ferraioli G, Filice C, Castera L, Choi BI, Sporea I, Wilson SR, Cosgrove D, Dietrich CF, Amy D, Bamber JC, Barr R, Chou YH, Ding H, Farrokh A, Friedrich-Rust M, Hall TJ, Nakashima K, Nightingale KR, Palmeri ML, Schafer F, Shiina T, Suzuki S, Kudo M
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Journal Title
Ultrasound in Medicine & Biology
Volume: 41(5)
Pages: 1161-1179
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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